セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(肝不全,移植) |
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タイトル | 消P-92:虚血性急性肝不全の臨床的特徴と予後 |
演者 | 津田 泰宏(大阪医大・2内科) |
共同演者 | 大濱 日出子(大阪医大・2内科), 筋師 徹也(大阪医大・2内科), 土本 雄亮(大阪医大・2内科), 朝井 章(大阪医大・2内科), 福西 新弥(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科) |
抄録 | 【背景】急性循環不全や低酸素血症などにより生じる低酸素性肝障害(虚血性肝障害)はしばしば著明な肝酵素の上昇を生じ,急性肝不全の原因となる.今回,当科で経験した虚血性急性肝障害の臨床的特徴や予後について検討した.【方法】2005年5 月から2012年11月までの期間で当科に入院した24人の急性肝不全患者を対象とした(男性15人,平均年齢61±17歳).急性肝不全は発症後24週間以内にPT値が40%未満に低下し,II度の肝性脳症を伴うものと定義した.その中で発症前に急激な肝循環血量の低下や低酸素血漿の経過があり,以後急激に肝酵素の上昇が認められ,他の肝炎の原因は否定されているものを虚血性急性肝不全と診断し,他の原因の急性肝不全群(主に劇症肝炎と診断された群)と比較検討した.【結果】当科で治療した24症例中10症例(41.6 %)が虚血性肝不全であった. 男性が多く,平均年齢は68 歳であり,50%の症例の背景に循環器疾患が存在した.その他の原因ではDICが3例,急性心筋炎1例,急性心タンポナーデが1例であった.また平均血清クレアチニン値は2.4mg/dlであり,約半数の症例が透析患者であった.劇症肝炎群と比較して診断時のALT,AST値の上昇とPT値の低下には有意差は認めなかったが,著明な血清LDH値上昇と左方移動を伴った白血球上昇が虚血性肝不全群で有意に認められた.逆にビリルビン値とγ-GTP値は虚血性肝不全群では有意に低値であった.肝性脳症の程度,MELDスコアは両群で有意差は認めなかった.予後の有意差は認めなかったものの,循環不全などの背景疾患が改善した症例は予後が良い傾向を示した. 【考察】虚血性急性肝不全の特徴は著明なLDH値の上昇と白血球の左方移動を伴う急激なAST,ALT値の上昇であった.そしてAST,ALTの上昇の割にはビリルビン値とγ-GTP値は低値であること,透析患者に生じやすいことなどが明らかとなった.予後に関しては背景疾患が予後を左右する場合が多く,速やかな基礎疾患の治療が予後を改善させる可能性が示唆された. |
索引用語 | 急性肝不全, 虚血性肝障害 |