セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(肝不全,移植)

タイトル 消P-94:

特徴的な食癖異常が診断の契機となり肝移植にて軽快したシトルリン血症の1例

演者 藤井 誠(国立東近江総合医療センター・消化器科)
共同演者 五月女 隆男(国立東近江総合医療センター・救急科DELIMITER滋賀医大・総合内科), 酒井 滋企(国立東近江総合医療センター・消化器科), 前田 憲吾(国立東近江総合医療センター・神経内科), 辻川 知之(国立東近江総合医療センター・消化器科DELIMITER滋賀医大・総合内科)
抄録 【症例】50歳代女性【既往歴】急性膵炎(2度),シェーグレン症候群【現病歴】急性膵炎に対して加療後,当院消化器内科外来を通院中であった.4か月前より軽度の意識障害が出現するも,自然に軽快するという経過をたどっていた.平成24年9月下旬日中から徐々に意識レベル低下が増悪し,夜間救急受診.血液検査・CT検査にて異常所見は認められず,意識レベルも改善したために帰宅となったが,翌日再び意識レベル低下を認め,当院救急搬送.昏睡状態であり,精査加療目的に入院となった.【経過】入院時の血液検査にてNH3 468μg/dLと高値を認めた.BCAA製剤の点滴にて翌日には意識レベルの改善を認めた.腸管内殺菌や緩下剤の投与では高NH3血症の是正は困難であり,意識清明時でもNH3は200~400μg/dlと高値を示した.タンパク合成能の低下なく,肝硬変の所見もみられず,P-Vシャントの存在も否定されたため,高NH3血症の原因は代謝性障害によるものが示唆された.問診を取り直したところ,糖質を嫌いピーナッツを異常に好むという食癖があること,両親および本人がいとこ結婚であることが判明した.血中アミノ酸分画でシトルリン470nmol/mL(正常値:17.1-42.6)と異常高値がわかり,シトルリン血症と診断した.その後,生体肝移植を施行されて意識障害・高NH3血症は改善,また糖質嫌いも消失した.シトリン遺伝子は全エクソンを調べたが,異常は認められなかった.今後,肝組織でのASS活性低下については検索する予定である.【結語】本症例は高NH3血症・異常な食癖がきっかけとなり診断に至った.肝硬変を有しない高NH3血症であることや本症例の前駆症状として慢性膵炎があることなど,一例報告ではあるが,消化器専門医にとって認識しておくべき重要な疾患の一つと考えられる.
索引用語 シトルリン血症, 高NH3血症