セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(肝不全,移植) |
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タイトル | 消P-95:臓器移植法改正後の劇症肝炎に対する肝移植 |
演者 | 武部 敦志(神戸大大学院・肝胆膵外科学) |
共同演者 | 福本 巧(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 木戸 正治(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 田中 基文(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 木下 秘我(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 蔵満 薫(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 小松 昇平(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 福島 健司(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 宗 慎一(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 新関 亮(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 松本 逸平(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 味木 徹夫(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 具 英成(神戸大大学院・肝胆膵外科学) |
抄録 | 臓器移植法改正により脳死ドナー数は増加し,脳死肝移植(DDLT)は劇症肝炎・LOHFの治療選択肢となった.年間40例程度のドナー数は本邦の劇症肝炎総発生数を満たさず,生体肝移植(LDLT)はなお劇症肝炎に対する移植治療の中心である.一方,脳死ドナー出現の可能性があり劇症肝炎・LOHFの至適移植時期・LDLT選択時期・集中治療継続期間は,今もコンセンサスが得られていない.当大学と関連施設で,2010年7月より2013年3月までに6例の劇症肝炎・LOHFが移植適応と判断された.3症例に生体ドナー(内,血液型非適合ドナー1例)がいたが,全例脳死移植登録手続きを開始した.レシピエント平均年齢は44.7才(22~64才) 原因不明の劇症肝炎が2例 B型肝炎劇症化が4例だった.脳症発生より手続き開始まで平均3.3日(2~5日)だった.適応評価は全例が医学的緊急度最高点とされた.生体ドナーがいない1例は登録後12日でDDLTが行なわれ,ドナー出現まで連日血漿交換および血液濾過療法を継続した.1例で,脳死ドナー出現なく登録後8日にLDLTが施行された.1例は登録後10日まで連日血漿交換および血液濾過療法が行なわれ,脳死ドナー出現ないため他施設にて血液型非適合LDLTが施行された(グラフト不全にてDDLT施行).2例は手続き開始後,4日・11日で症状改善を認め登録を取消した(血漿交換回数は4回・3回).1例は手続き中に死亡された.医学的緊急度最高点でもドナー出現までの平均待機期間は約2週間とされ,脳死移植施設では劇症肝炎・LOHFへの集学的治療の長期継続が必要とされる.脳死登録後10日・20日の死亡率は約30%・45%との報告があり,LDLTへの移行は脳症発症後2週間前後が至適とされるが,血液型非適合移植などの高リスク移植の適応は議論を要する.脳死部分肝グラフトや境界ドナーグラフトによる緊急肝移植の有用性が明らかにされており,ドナー数増加にむけて本邦でも普及することが望まれる. |
索引用語 | 劇症肝炎, 脳死肝移植 |