セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(その他1)

タイトル 消P-99:

肝嚢胞に対する経皮的塩酸ミノサイクリン注入療法の治療成績

演者 吉田 はるか(国立仙台医療センター・消化器内科)
共同演者 田邊 暢一(国立仙台医療センター・消化器内科), 阿子島 裕倫(国立仙台医療センター・消化器内科), 真野 浩(国立仙台医療センター・消化器内科), 鵜飼 克明(国立仙台医療センター・消化器内科), 田所 慶一(国立仙台医療センター・消化器内科)
抄録 【目的】肝嚢胞は臨床的に問題となることは少ないが,嚢胞の巨大化による腹部症状や増大傾向,肝機能障害などをきたした際には治療対象となる.今回われわれは,肝嚢胞に対する経皮的塩酸ミノサイクリン(以下,MINO)注入療法施行例の安全性と有効性を明らかにすることを目的とした.【方法】2004年1月から2012年12月にMINO注入療法を行った22例のうち,3カ月以上の経過観察が可能であった10例を対象とした.観察期間は3カ月-82カ月(平均29.6カ月),性別は男性3例,女性7例,年齢は55-81歳(平均62.0歳)であった.治療の契機は,腹部症状が4例,増大傾向が5例,腫瘍マーカーCEA,CA19-9高値が1例であった.治療法は全例でエコーガイド下に経皮的肝嚢胞ドレナージ術を行い,MINO注入を行った.レトロスペクティブに嚢胞の最大径,性状,MINOの使用方法,肝嚢胞の縮小率,有害事象を検討した.縮小率は,治療前と治療後3カ月以上でのCT,超音波での肝嚢胞の最大径により求めた.【成績】肝嚢胞の最大径は5.3-17cm(平均値11.4cm)であった.細胞診はclassIが7例,classIIが3例であった.MINOは1回に200mg使用し,注入回数は2-4回(平均2.9回)であった.肝嚢胞の縮小率は22.9-92.4%(平均値64.2%)であった.重篤な有害事象は認めず,術後疼痛については自制内または鎮痛薬内服にて対応可能であった.いずれの症例も治療後症状再燃や検査値の増悪を認めない.【結論】肝嚢胞の治療法には経皮的MINO注入療法の他にも開腹下肝嚢胞摘出術や経皮的エタノール注入療法,および硬化剤注入療法等報告されているが,いまだ治療法は確立していない.治療法の選択については今後も議論を要するが, MINOを用いた肝嚢胞注入療法は安全かつ有効な治療法と考えられた.
索引用語 肝嚢胞, 塩酸ミノサイクリン