セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓(その他2)
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タイトル |
消P-104:終末期がん患者の肝腫瘍破裂に対する症状緩和の検討
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演者 |
村上 真基(新生病院・消化器科DELIMITER新生病院・緩和ケア科緩和ケア病棟) |
共同演者 |
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抄録 |
【目的】進行癌患者の病状増悪によって生じる肝腫瘍の破裂・出血に伴う急変死は,十分な緩和医療が行われていても避けることはできない.また急変による疼痛増悪で症状緩和も難しい.今回,肝腫瘍破裂と考えられる急変症例の症状緩和について検討した.【方法】2010年1月から2012年12月までに緩和ケア病棟へ入院し,肝破裂によると思われる急変で死亡した患者17名について,急変後の疼痛緩和の良好群10例と不良群7例で,背景,経過,対策,死後の家族の受容等について検討した.肝破裂の診断は,大きな肝腫瘍あるいは肝表面の腫瘍を有し,急速に強い腹痛や血圧低下を認め,数日以内に死亡した症例を臨床的に診断した.【成績】対象症例の年齢は平均74.2歳(52~91歳),男女比9/8,全例が転移性肝腫瘍で原発は大腸6例,胃4例,膵3例などであった.入院日数は平均27.8日(2~164日)であった.良好群と不良群の比較を行ったところ,平均年齢は67.5歳と83.7歳で不良群が有意に高齢であった.腹膜播種,腹水の合併頻度に差は認めなかった.急変から死亡までの時間は22.3±21.0時間と8.7±5.6時間で不良群は短い傾向であった.良好群は急変前オピオイド持続注射実施例を含めて9例が急変直後にオピオイド持続注射で疼痛緩和を実施し1例は内服レスキューでコントロールできていたが,不良群では急変直後にオピオイド持続注射で対応できたのは2例にとどまり,2例は対応が遅れて注射を開始,3例は諸事情でオピオイドの投与が実施できなかった.急変の可能性についてあらかじめ説明してあった割合は同等であったが,発生直後に患者や家族へ説明できたのは9例と3例で不良群は少ない傾向であった.急変後に合併した血圧低下,意識低下,不穏の割合は同等であった.死亡後から患者退院時までに家族が死を受容できたのは9例と2例で不良群は有意に少なかった.【結論】肝腫瘍破裂に伴う急変で疼痛緩和を良好に行うためには,急変直後から十分な説明をしたうえでオピオイドを十分な量で投与することが重要であり,その結果として家族の受容も得られると考えられた. |
索引用語 |
肝破裂, 急変 |