セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(その他2)

タイトル 消P-106:

北海道のある肝癌多地域の疫学調査

演者 樋口 竹広(札幌緑愛病院・医療技術グループ)
共同演者 美馬 聰昭(札幌緑愛病院・肝臓センター), 品川 祐基典(札幌緑愛病院・肝臓センター), 高柳 俊明(札幌緑愛病院・肝臓センター), 関谷 千尋(北海道社会保険病院)
抄録 【目的】北海道の肝癌標準化死亡比が最も高い地区の疫学調査を行うことができ,C型肝炎ウイルス(HCV抗体)およびB型肝炎ウイルス(HBc抗体)との関連で興味ある結果が得られたので報告する.【方法】Y町M地区に居住する20歳以上の住民を対象に2006年11月~2007年10月までの1年間.また,2009年12月~2010年4月まで追加調査を実施した.受診者は544名(男261人,女283人)で住民の11.3%であった.肝炎ウイルスマーカーとHCV抗体陽性者にはゲノタイプも検索した.HCV -RNA 抗体陽性者およびIFN後のSVR例には,超音波検査を可能な限り実施した.【成績】HCV抗体陽性率はM地区39.4%,M地区以外22.3%であった.主な通院歴別(A医院,B医院,その他)での検討の結果,輸血癧のある群(81名)のHCV抗体陽性者はA医院に受診歴ある者18名中14名で77.8 %,B医院に受診歴のある者18名中9名で50%,その他の医院の受診者は45名中8名17.7%であった.A,B医院間では有意差を認めなかったが,A 医院とその他の医院,B医院とその他医院では有意差を認めた.輸血癧のない群(463名)のHCV抗体陽性者はA医院115名76名66.1%で,B医院では109人中29名26.6%,その他の医院では239名中23名で9.6%であった.A医院とB医院,A医院とその他の医院,B医院とその他の医院ともに有意差を認めた.輸血癧のない群(463名)におけるHBc抗体(低力価,高力価を含む)陽性率はA医院受診者115名中65名56.5%,B医院受診者109名中48名44.0%,その他の医院受診者239名中108名45.2%であった.A医院とB医院,A医院とその他の医院,B医院とその他の医院で有意差は認めなかった.超音波検査で4名の肝癌を発見した.【結論】今まで輸血に起因すると思われたC型肝炎の主たる感染ルートは肝癌多発地域ではそうではないと推定された.又B型肝炎の感染は医療機関での感染という説もあったが,C型肝炎と全く別ルートの感染すなわち集団予防接種が大きく関与していたと考えられた.
索引用語 肝癌多発地域, 疫学調査