セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(診断1)

タイトル 消P-112:

総胆管結石の画像診断

演者 小林 正佳(亀田総合病院・消化器内科)
共同演者 中路 聡(亀田総合病院・消化器内科), 平田 信人(亀田総合病院・消化器内科), 白鳥 俊康(亀田総合病院・消化器内科)
抄録 【背景・目的】総胆管結石の診断には様々な画像検査が用いられるが,それぞれ長所と短所がある.どの検査が適しており,どの検査を行うべきか知るために,各画像検査の成績を検討した.【対象・検討内容】2008年1月から2012年12月までにERCPを行い,総胆管結石を確認した750例を対象に,US,CT,MRI,EUSによる結石診断率を検討した.【結果】結石診断率は,US51%(169/330),CT77%(515/665),MRI89%(162/182),EUS100%(23/23)であった.USで診断できなかった結石161例のうち138例にCTが施行され,うち78例が診断可能であり結石診断率は80%となった.US・CTで診断できなかった結石60例のうち33例にMRIが施行され,うち25例が診断可能であり結石診断率は97%となった. US・CT・MRIで診断できなかった症例8例のうち,2例にEUSを施行し2例とも診断可能であった.結石径による診断率の違いは,結石径5mm未満でUS39%,CT61%,MRI79%,結石径5~10mmでUS50%,CT75%,MRI95%,結石径10mm以上でUS61%,CT94%,MRI97%であった.結石径が大きいほど各検査とも診断率は高くなったが,USは胆管描出率の問題もあるため結石径が大きくても満足のいく診断率ではなかった.高い診断能を誇るMRIでも5mm以下の結石診断率は明らかに低下した.【結語】1つの画像検査で診断できない結石も他の画像検査で診断できることがあり,複数の検査を組み合わせることで診断率はあがる.しかし食後患者にUSは適さず,腹痛がある患者や急性胆管炎を発症している患者には撮像に時間がかかり息止めを要するMRIは適さない等,状況に応じた検査の選択が必要である.すなわち臨床的に総胆管結石が疑われる患者の結石診断には,緊急でない場合はMRIを中心とした複数の画像検査で診断率をあげることが望ましいが,緊急で内視鏡治療が必要な場合には,救急で素早く施行でき8割の結石診断が可能なUSとCTが有用であり,もし結石が指摘できなくてもすみやかに治療を兼ねたERCPを行うことが望ましい.
索引用語 総胆管結石, 画像診断