セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(診断2)

タイトル 消P-114:

IgG4関連硬化性胆管炎の診断における好酸球性胆管炎の鑑別の重要性

演者 垣内 伸之(大津赤十字病院・消化器科)
共同演者 内海 貴裕(大津赤十字病院・消化器科), 松本 淳(大津赤十字病院・消化器科), 森 義治(大津赤十字病院・消化器科), 財間 千景(大津赤十字病院・消化器科), 曽我部 裕子(大津赤十字病院・消化器科), 西田 吉宏(大津赤十字病院・消化器科), 稗田 信弘(大津赤十字病院・消化器科), 松永 康寛(大津赤十字病院・消化器科), 安村 聡樹(大津赤十字病院・消化器科), 友野 輝子(大津赤十字病院・消化器科), 長谷川 和範(大津赤十字病院・消化器科), 本庶 元(大津赤十字病院・消化器科), 近藤 雅彦(大津赤十字病院・消化器科), 西川 浩史(大津赤十字病院・消化器科), 三宅 直樹(大津赤十字病院・消化器科), 河南 智晴(大津赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)はIgG4関連疾患(IgG4-RD)の胆管病変である.一方,好酸球性胆管炎(eosinophilic cholangitis:EC)は胆道系への好酸球浸潤を特徴とするアレルギー疾患である.アレルギー疾患に高IgG4血症がみられることが知られており両者の鑑別は重要である.IgG4-SCとECの鑑別における特徴を明らかにすることを目的とした.
【方法】2006年4月~2013年3月の間に当院で2例のEC(Churg-Strauss症候群合併1例,好酸球性胃腸炎合併1例)を経験した.同時期に経験したIgG4-SC12例と,当院で経験したEC2例にPubMedおよび医中誌で検索しえた30例を合わせたEC32例を比較検討した.
【成績】IgG4-SCは高齢(中央値76才),男性(男女比11:1)に好発するのにたいし,ECは中年(中央値48才)に好発し男女差(男女比17:15)はみられなかった.発症時の好酸球数はIgG4-SC271.9(±208.7)/μlにたいしEC3747.0(±4289.7)/μlとECに多い傾向がみられた.IgG4上昇例はIgG4-SC83%と高率であるのにたいし,ECでも43%と上昇例が存在した.IgE上昇例はIgG4-SC60%にたいしEC75%であった.胆管像ではIgG4-SCは下部胆管病変を75%と高率にみとめたがECでは37.5%であった.合併病変としてIgG4-SCの92%にIgG4-RDの他臓器病変がみられ,胆管病変単独の症例は8%であった.一方,ECでは53%に全身疾患としての好酸球増多症候群やChurg-Strauss症候群,または好酸球性胃腸炎などの好酸球性疾患の合併がみられ,胆管病変単独の症例は47%であった.両疾患ともステロイド治療への反応性は良好であったが,ともに再燃は約2割みられた.
【結論】IgG4-SCの診断において組織学的な検索によりECとの鑑別を行うことが重要である.組織学的診断が困難な場合は両者の鑑別は慎重に行う必要があり,他臓器病変の全身検索や好酸球数などが鑑別に役立つと考えられた.
索引用語 好酸球性胆管炎, IgG4関連硬化性胆管炎