共同演者 |
松原 浩(豊橋市民病院・消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院・消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院・消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院・消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院・消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院・消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院・消化器内科), 田中 浩敏(豊橋市民病院・消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院・消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院・消化器内科), 鈴木 博貴(豊橋市民病院・消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)臨床診断基準2012が発表されその実態は明らかになりつつあるが,未だに胆道悪性疾患との鑑別に苦慮する症例も経験される.治療面ではステロイドの有用性は明らかであるものの,維持療法や治療期間など明確なコンセンサスはない.【目的】当院におけるIgG4-SCの臨床的特徴を明らかとし,その診断,治療を評価すること.【方法】当科において臨床診断基準2012を満たす連続したIgG4-SC 12例を対象とし以下の項目について検討した.1) 臨床的特徴.2) 経乳頭的胆管生検の有用性.施行例はEUSないしERCPに引き続いて施行した管腔内超音波検査により胆管壁肥厚を確認した.可能な限り狭窄あるいは胆管壁肥厚部位から生検を行っている.3) ステロイドの有効性.治療例はプレドニゾロン(PSL)0.6mg/体重kg/日で導入し,その後2-4週継続後に漸減した.維持量は個々の年齢,基礎疾患に応じて2.5mgから5mgとした.【結果】1) 性別:男性9例,女性3例.平均年齢:67.3歳(50歳~80歳).診断時血清IgG4値:平均値517.2±106.8mg/dL(79~1100mg/dL).胆管像の分類:type1 3例,type2a 2例,type2b 6例,type3 1例,type4 0例.自己免疫性膵炎(AIP)合併:有 11例,無 1例.その他の随伴症状:腎疾患1例,硬化性唾液腺炎1例,後腹膜線維症1例.12例全例が生存中であり胆道悪性疾患の発生は認めていない.2) 12例中5例に胆管生検を行い,1例でIgG4陽性細胞浸潤を,2例でリンパ球および形質細胞浸潤を認めた(重複あり).花筵状線維化と閉塞性静脈炎を認めた症例はなかった.3) 12例中11例に導入し全例で胆管病変の改善を認めた.コンプライアンス不良により再燃したものが1例あった.【結論】経乳頭的胆管生検の成績は満足いく結果ではなかったが,施行された症例は全例生存中であり悪性疾患を否定し得ていた.PSL治療は全例に改善が認められ有効な治療であったが中止例では再燃を認めており維持療法の必要性が示唆された. |