セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(診断2)

タイトル 消P-118:

IgG関連性硬化性胆管炎の臨床病理学的検討 -手術症例と非手術症例の比較-

演者 小林 慎二郎(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科)
共同演者 中原 一有(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 野田 顕義(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 大島 隆一(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 片山 真史(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 佐治 攻(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 岸 真也(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 末谷 敬吾(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 小泉 哲(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 中野 浩(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 大坪 毅人(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科)
抄録 【緒言】IgG関連性硬化性胆管炎は近年診断基準の確立によって診断能が向上しているが,癌と鑑別がつかず手術となる症例が今だに存在する.今回われわれは,胆管狭窄に対する診断の向上を目的として当院の症例についてretrospectiveに臨床病理学的検討を行った.【対象と方法】2005年から2012年の間に当院で経験したIgG関連性硬化性胆管炎16例を対象とした.癌を否定できずに手術に至った7例を手術群,診断が確定できた9例を非手術群として,CTやERCなどの画像診断,術前細胞診と組織診,術後病理診断について検討した.胆管狭窄のERC所見については,smoothで緩やかなものをgradually type,急峻なものをcancer like type,狭窄範囲が短く,”輪状”なものをring typeの3つに分類した.【結果】胆管の狭窄部位は,手術群では肝内胆管が1例,肝門部が1例,中部胆管が2例,下部胆管が3例であったが,非手術群では肝内胆管が1例で他の8例は下部胆管であった. CT所見で狭窄部胆管に造影効果がみられたのは手術群で4例,非手術群で5例であり,胆管壁の明らかな肥厚を認めたのは手術群の1例のみであった.ERCは手術群では5例で施行されており,gradually typeが2例, cancer like typeが2例, ring typeが1例であった.非手術群では8例で施行されており ,gradually typeが4例, cancer like typeが4例, ring typeは認めなかった. 非手術群では全例で血清IgG4(IgG)値が高値であり,膵腫大も認めた.手術群では膵腫大を認めたのは2例であったが,IgG4を検査されていたのは3例のみであった.【考察・結語】過去の症例では,IgG関連性胆管炎等の良性胆道狭窄に対する認識が甘く,必要な検査が十分におこなわれていなかったが,retrospectiveに再検討しても癌を疑う症例も2例(ERCでcancer like type)存在した.診断基準に当てはまらずに,診断的切除が必要な症例は今後も少なからず存在すると思われる.
索引用語 IgG関連性硬化性胆管炎, 自己免疫性膵炎