セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療1)

タイトル 消P-121:

生体吸収性材料を用いた胆管再生療法の現状と展望-人工胆管開発および生体吸収性胆道ステントの臨床応用-

演者 宮澤 光男(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科)
共同演者 合川 公康(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 渡邉 幸博(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 岡田 克也(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 岡本 光順(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 山口 茂樹(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 小山 勇(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科)
抄録 近年,腹腔鏡下胆嚢摘出術,生体肝移植術の普及に伴い,術後,胆管合併症が増加している.胆道狭窄はその合併症の大半を占め,様々な観血的,非観血的治療がなされているが,未だに問題点が多い.術後胆管狭窄に対する非観血的治療としては,内視鏡的拡張術やステント治療が行われているが,この治療後には胆管炎や再狭窄がしばしばみられ,十分な治療法とはいえない.術後胆管狭窄に対する観血的治療では,胆管狭窄部へのT-チューブ挿入,胆管腸バイパス術が施行されるが,縫合不全など術後早期の合併症,また長期予後に様々な問題がある.特に,胆管腸バイパス術では,術後長期の観察で吻合部の狭窄や,遺残胆管に癌が発生しやすいという報告がある.そこで,我々は,理想的な胆道系疾患の治療法開発を目指し,胆管を再生させる生体吸収性のscaffold(BAP)(人工胆管)および胆管狭窄部治療のための自己拡張型生体吸収性胆道ステントを開発している.現在までの結果は1)全周性ではない胆管再生に対し,BAPパッチの利用が可能(Surgery 2010),2)全周性の小範囲の胆管再生に対し,BAPチューブ(人工胆管)の置換が可能 (J Gastrointest Surg 2012),3)全周性の広範囲の胆管再生に対し,人工胆管の置換が可能 (Am J Transplant 2005),4)逆流性胆管炎予防のための,逆流防止弁を付加した環状胆管再生が可能(J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2010),5)胆管狭窄部に対し,生体吸収性ステントで治療が可能,という結果であり,初期の検討では希望のもてる成績を得ている.生体吸収性ステントに関しては,大学倫理委員会に諮り,胆管―腸吻合部への応用という形で臨床研究を進行させており,現在までのところ良い成績を収めている. 本学会においては,我々の生体吸収性材料を応用した胆管再生療法開発の展望と現時点における問題点を述べたい.
索引用語 胆管再生, 生体吸収性材料