セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療1)

タイトル 消P-125:

総胆管結石治療における大口径バルーンを用いた乳頭拡張術の有用性に関する検討

演者 三上 繁(キッコーマン総合病院・内科)
共同演者 若松 徹(キッコーマン総合病院・内科), 大西 和彦(キッコーマン総合病院・内科), 清水 史郎(キッコーマン総合病院・内科), 秋本 政秀(キッコーマン総合病院・内科)
抄録 【目的】2012年5月より保険適用となった大口径バルーンによる乳頭拡張術の有用性を明らかにするため当院における治療成績について検討した.【対象・方法】総胆管結石治療目的に内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD)を施行した7例および胃全摘後のためPTBD後に経皮的に乳頭を大口径バルーンにて拡張した2例を対象とした.対象の年齢は74.0±16.3歳,中央値76歳(40~90歳).性別は男4例,女5例.胆石の最大径は15.3±6.6mm,中央値15mm(EPLBD例では11~30mm,経皮例では8.5~8.7mm).胆石の個数はEPLBD例では1個が2例,複数個(2~8個)が5例,経皮例では2例とも1個であった.胆管径は12.7±4.4mm,中央値12.8mm(6.5~22mm).治療方法は,内視鏡的には乳頭小切開後に12~15mm径のバルーンを用いて3~4気圧にてノッチが消えるまで拡張.経皮例は切開不可であり,また胆石径もそれほど大きくなかったためノッチがわずかに残る程度で拡張終了とした.バルーンの拡張に関しては,位置や拡張の程度が判断しやすいように造影剤と生理食塩水の混合液を用いた.【治療成績】全例で完全切石可能であった.EPLBD例では大きな胆石や個数が多い例が対象となるため,1回のERCPで完全切石に成功したのは3例で,他の4例ではわずかな残石が認められ2回のERCPで完全切石となったが,2回目のERCPはバスケットによる切石のみで短時間で終了可能であった.経皮例ではバルーン拡張に引き続き,除去用バルーンにて小腸側に胆石を押し出して1回の手技にて切石に成功した.手技の翌日に血清アミラーゼ値が前値の2倍以上に上昇した症例は9例中5例(55.6%)であったが,膵炎を発症したのはEPLBD例の1例のみで,この症例も保存的に改善した.【結論】大口径バルーンによる乳頭拡張術は,従来法では破砕を必要とするなど切石の手技が煩雑になる大結石や多数の結石が存在する症例において効率のよい切石が可能となり,有用な治療法であると考えられた.
索引用語 大口径バルーン, 総胆管結石