セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療1)

タイトル 消P-126:

胆汁培養から見る当院の急性胆嚢炎治療の現状

演者 吉田 裕幸(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 隅野 有香(西神戸医療センター・消化器科), 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科), 山本 剛(西神戸医療センター・臨床検査技術部)
抄録 【目的】急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインでは,急性胆嚢炎に対して早期の胆嚢摘出が推奨されている.しかし,全身状態の悪い症例などでは経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を行ってから待機的に胆嚢切除をすることがある.当院の急性胆嚢炎治療の現状とPTGBDの有用性についてretrospectiveに検討した.【方法】2010年4月から2013年3月に胆汁培養検査を提出された患者のうち,退院時病名に胆嚢炎が含まれている104例を対象とし,外科手術またはPTGBDの選択,原因微生物の種類,抗生剤の選択,治療成績について検討した.【成績】初期治療として外科手術が選択されたのは91例,PTGBDが選択されたのは13例であり,そのうち8例は全身状態改善後に外科手術が施行された.全104例の胆汁培養から検出された原因微生物は39菌種に及び,Escherichia coliが最多の29例に認められ,以下Klebsiella pneumonia(19例),Enterobacter cloacae(11例)と続いた.PTGBD群に限るとEscherichia coli,Klebsiella pneumonia,Clostridium perfringensが3例ずつで最多であり,Pseudomonas aeruginosaやMethicillin-resistant Staphylococcus aureusのような一般的な抗生剤に抵抗性を示す菌種も見られた.抗生剤は外科手術群では63例(69%)にCMZが使用されていたのに対し,PTGBD群ではSBT/CPZが8例(62%)に使用され,広域抗生剤(MEPM,IPM/CS)の使用も外科手術群の2例(2%)に対し,PTGBD群では4例(31%)であり,PTGBD群の方が抗菌スペクトラムの広い抗生剤が選択される傾向にあった.治療後の経過は全例で炎症反応の改善を認め,退院までの日数の中央値は外科手術群では術後7日,PTGBD群ではドレナージ後26日であった.【結論】急性胆嚢炎の初期治療として早期の外科手術は在院日数の短縮に繋がるが,外科手術不能例においても,PTGBDの施行と適切な抗生剤の使用により良好な治療成績が得られた.
索引用語 急性胆嚢炎, 経皮経肝堪能ドレナージ