セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療2)

タイトル 消P-129:

当院で総胆管結石に対してERCPを施行された後期高齢者と非後期高齢者の比較検討

演者 福田 重信(さいたま市民医療センター・消化器内科)
共同演者 大竹 はるか(さいたま市民医療センター・消化器内科), 浅見 育広(さいたま市民医療センター・消化器内科), 中島 嘉之(さいたま市民医療センター・消化器内科), 宗雪 年孝(さいたま市民医療センター・消化器内科)
抄録 【目的】人口の高齢化に伴い,高齢の総胆管結石患者は増えることが予想される.内視鏡的逆行性膵胆管造影術(ERCP)は内視鏡手技の中でも比較的手技が煩雑であり,膵炎等の重篤な偶発症が存在するため,後期高齢者に施行する場合は躊躇する場合が多い.今回,総胆管結石に対して当院でERCPを施行された症例を後期高齢者と非後期高齢者に分け,切石成功率や偶発症発生率などの比較検討を行った.【方法】2009年4月1日から2012年3月31日までの間に当院で総胆管結石治療目的に内視鏡的逆行性膵胆管造影術(ERCP)を行った連続116例を,75歳以上の後期高齢者71例のA群(男性20例,女性51例,平均年齢85.63±6.12歳)と非後期高齢者群45例のB群(男性31例,女性14例,平均年齢62.4±12.12歳)に分けて比較した.【成績】総胆管結石患者でERCPを施行した症例のうち,実際に切石術を行った症例の割合は,A群76.06%,B群84.44%であった.またERCPの成功を,切石術を施行して総胆管内に結石が残存していないことと定義し,その成功率を比較すると,A群85.1%,B群97.37%であった.ERBDは両群とも全例成功していた.偶発症はA群で2.82%,B群で4.44%認めたが,それに起因する死亡例はなかった.在院日数は,A群が平均14.5日,B群が平均12.84 日であった.当院において総胆管結石を疑われながらもERCPを施行しなかった症例が16例あった.その患者背景にはpassing stoneが最も多く,次いで悪性腫瘍・認知症などが挙げられた.また脳梗塞や他の疾患の治療が優先され,総胆管結石の治療は後回しにされる症例があった.【結論】総胆管結石に対する治療としてのERCPは,ほぼ後期高齢者においても非後期高齢者と同等に安全に施行できると考える.しかし後期高齢者になると併存疾患を有することも多く,ERCPの適応には注意が必要である.
索引用語 後期高齢者, 総胆管結石