セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療3)

タイトル 消P-134:

腹腔鏡下胆嚢摘出術の難易度評価における術前DIC-CTの有用性

演者 矢島 浩(厚木市立病院・外科)
共同演者 金井 秀樹(厚木市立病院・外科), 武田 光正(厚木市立病院・外科), 篠田 知太朗(厚木市立病院・外科), 増淵 正隆(厚木市立病院・外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 【目的】術前DIC-CTで,腹腔鏡下胆嚢摘出術の難易度を評価できるか検討した.【対象と方法】2010年1月から2013年2月までに術前DIC-CTを施行した腹腔鏡下胆嚢摘出術症例75例(男性38例,女性37例),年齢中央値61歳(20-84歳)を対象とした.疾患の内訳は,胆嚢結石症72例(うち急性胆嚢炎9例),胆嚢ポリープ1例,胆嚢腺筋腫症1例,胆嚢癌1例(術後判明)であった.全例総ビリルビン値は正常であり,上腹部手術の既往歴はなかった.DIC-CTの結果を,Class 1:総胆管,胆嚢管,胆嚢が描出される症例50例(66.7%),Class 2:総胆管,胆嚢管は描出されるが,胆嚢は描出されない症例21例(28%), Class 3:総胆管は描出されるが,胆嚢,胆嚢管は描出されない症例4例(5.3%)の3群に分類し比較検討した.【結果】性別BMI術前白血球数出血量では有意差を認めなかったが,年齢中央値は, Class 1:61歳(20-80歳),Class 2:60歳(25-84歳),Class 3:53歳(32-68歳)でClass 1は他2群と比較し有意に高齢であった(p<0.001).胆嚢管螺旋襞壁像の有無は,Class 1:有39例,無11例,Class 2:有10例,無11例で有意差を認めた(p=0.012).手術時間中央値は,Class 1:102.5分(55-240分),Class 2:140分(65-240分),Class 3:163分(100-180分)でClass 2はClass 1と比較し有意に長かった(p<0.01).開腹移行は,Class 1:2例(4%),Class 2:4例(19.0%),Class 3:2例(50%)でClass 3はClass 1と比較し有意に多かった(p<0.05).開腹移行理由は,高度炎症例での総胆管損傷1例(Class 1),胆嚢管結石による胆嚢管処理不能1例(Class 2)以外,全例癒着や炎症であった.【結論】術前DIC-CTで胆嚢が描出されない場合,出血量は増加しないが,胆嚢周囲の癒着や炎症などによる手術時間の延長や開腹移行の可能性が増加し,腹腔鏡下胆嚢摘出術に難渋することが示唆された.
索引用語 DIC-CT, 腹腔鏡下胆嚢摘出術