セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療3)

タイトル 消P-136:

胆管癌に対する光線力学療法の有効性の検討

演者 村上 豪志(長崎大・腫瘍外科)
共同演者 七島 篤志(長崎大・腫瘍外科), 阿保 貴章(長崎大・腫瘍外科), 國崎 真己(長崎大・腫瘍外科), 黨 和夫(長崎大・腫瘍外科), 日高 重和(長崎大・腫瘍外科), 竹下 浩明(長崎大・腫瘍外科), 永安 武(長崎大・腫瘍外科)
抄録 光線力学療法(photodynamic therapy)は光感受性物質の腫瘍細胞への特異的な集積性を利用し,レーザー光を用いて光感受性物質を励起し癌細胞の細胞毒性を誘発する腫瘍特異的な低侵襲癌治療の一つである.PDT療法は,1994年に厚生省より認可をうけ1996年より保険適用となった.現在の保険適応疾患は早期肺癌,表在型食道癌,表在型早期胃癌,子宮頚部初期癌及び異形性病変となっている.我々は胆道癌であるNOZ細胞を用いて光感受性物質であるPhotofrin(フォトフィリン)やTalaporfin(レザフィリン)を用いたPDTの有効性をin vitroやin vivoにおいて検討し臨床応用してきた.臨床での胆管癌の患者への施行については適応基準として画像診断上明らかな遠隔転移,高度リンパ節転移がなく,局所制御で予後の向上が望める症例で,1.肝臓側胆管断端陽性の部位の術後補助療法,2.術後胆管再発に対する局所治療,3.切除不能な高度局所進行例のステント療法との併用として,大学病院の倫理委員会への申請(2002年5月)のもと,Informed consentを行い,大学病院の学用研究費による費用負担で施行している.2002年より2009年まではPhotofrinを用いたPDTを8例施行し,DSF(p=0.78)・OAS(p=0.39)においてnon-PDT症例とくらべ有効である可能性が示唆された.2010年からはTalaporfinを用いたPDTを施行しており,2012年までに胆管癌患者8例に対し行った.平均生存期間18.4か月(生存:5例,他病死:1例,肝転移:2例,Max29か月)である.Talaporfinに対しては経過も短く,今後の結果が期待される.また,現在,光感受性物質としてクロリン誘導体に糖鎖を連結し,癌への集積性を高めた糖鎖連結クロリンが開発されており,胆道癌においてそれを用いたPDTをin vitro,in vivoに対して行っている.今回,胆道癌に対するPhotofrinやTalaporfinを用いた光線力学療法(PDT)の有効性と糖鎖連結クロリンを用いたPDTの現時点での結果を合わせて報告する.
索引用語 胆管癌, PDT