抄録 |
症例:56歳男性,平成25年8月近医通院中に肝機能障害と閉塞性黄疸を指摘され当院紹介.造影CT検査で,2cm大肝門部胆管癌および左右の肝内胆管(IHBD)拡張あり.PET-CTで縦隔リンパ節への遠隔転移を認め,T4M1stageI∨b胆管癌と診断.手術不適応症例であった.内視鏡的膵胆管造影検査(ERCP)を施行し肝門部胆管癌の胆管浸潤範囲を確認.IHBDの狭窄は左側基部およびB8・B5・B6/7と確認し,左胆管基部およびB8にERBDtubeを挿入.B5とB6/7にはPTCDを用いてドレナージを施行した.ドレナージ効果を確認後,プラスチックステントからメタリックステントへ置換.経過良好で入院後97病日退院した.しかし退院1ヶ月後に発熱および右季肋部痛で再度入院.腹部CTおよび超音波検査施行.胆嚢管開口部への腫瘍浸潤によって開口部狭窄し発症した急性胆嚢炎と診断した.経皮経管胆嚢ドレナージ術(PTGBD)を施行.一時症状改善するも,チューブクランプで再度増悪した.患者本人より内瘻化の強い希望があったこと,また胆嚢摘出術は胆嚢床の癌浸潤が高度で適応外であったことより,PTGBDより胆嚢管へのプラスチックステント留置術を施行.胆嚢管へ5Fr×5cmのプラスチックステントを留置した.その後胆嚢炎の再発なく,2ヶ月後の現時点でも経過良好である.結語:現在手術不能の症例で頻回に再発する胆嚢炎の治療としては,PTGBDや内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ(ETGBD)など報告例がある.しかしPTGBDでは外瘻化でチューブ管理を必要であり,ETGBDでは手技の特殊性より施行施設が限られるなどの制約が存在する.今回演者らは,PTGBDより胆嚢管へチューブを内瘻化することにより,再発性胆嚢炎をコントロールすることができた肝門部胆管癌の一例を経験した.この手技は本邦報告例が少ないこともあり若干の文献的考察を加え報告する. |