セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(腫瘍)

タイトル 消P-144:

胆嚢摘出術後に診断された胆嚢・胆嚢管癌症例の検討

演者 小野 博美(静和記念病院・内科)
共同演者
抄録 【目的】胆嚢摘出術後に診断された胆嚢・胆嚢管癌症例を後ろ向きに検討した.【方法】2004年10月より2012年12月までに外科療法を実施した349例を対象とした.男性が178例(51.0%),平均年齢は66.9歳(22-98歳)であった.【成績】術前臨床診断は,胆石症215例,胆嚢炎127例,胆嚢腫瘍4例, 胆石と胆嚢腫瘍の合併が3例であった.術後病理診断として,胆嚢癌が2例,胆嚢管癌が1例,胆嚢腺腫が1例であり,いわゆるincidental cancerが2例(0.57%)を占めた.2例を提示する.(症例1)76歳,男性.(現病歴)2004年10月中旬右季肋部痛出現し,腹部CT検査上胆嚢炎と診断され入院した.(現症)身長156cm,体重66kg,腹部は右季肋部に圧痛あり.(入院経過)抗生剤を投与するも改善しない為,10月下旬,腹腔鏡下胆嚢摘出術を実施した.外科的には胆石胆嚢炎の所見であったが,病理学的に胆嚢管の一部に腺癌を認め胆嚢管癌と診断された.tub1,mp,T2M0N0,stageIIで,胆嚢管の断端は病理学的に不明であった.経過観察するも2009年7月上旬まで再発を認めず.(症例2)66歳,女性.(現病歴)健診腹部超音波検査を受診した際,胆石を指摘され治療目的で2007年10月下旬入院した.(現症)身長150cm,体重43.5kg,腹部は平坦・軟,腫瘤を触知せず.(入院経過)超音波検査では結石が多発するも壁肥厚,腫瘤を認めず.胆石胆嚢炎の診断にて10月下旬,腹腔鏡下胆嚢摘出術を実施した.外科的には胆嚢炎の所見であったが病理学的にtub1,se,s(+),T3M0N0,stageIIIaで,肝床部の断端は陽性であった.再入院し11月中旬,肝部分切除及びリンパ節郭清術を実施した.病理学的には腫瘍の残存を認めなかった. 12月中旬退院し経過観察中である.【結論】平坦型腫瘍では,画像的に未だ限界があり術前に胆石胆嚢炎と診断されても術後胆嚢癌と判明する場合がある.その際の治療法が確立していないため早期のガイドライン作製が望まれる.
索引用語 胆道, incidental cancer