セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(その他)

タイトル 消P-149:

当院において胆嚢炎を契機にCCEと診断された5例の検討

演者 松岡 歩(岡崎市民病院・消化器内科)
共同演者 内田 博起(岡崎市民病院・消化器内科), 二村 真(岡崎市民病院・消化器内科), 寺本 彰(岡崎市民病院・消化器内科), 佐藤 淳一(岡崎市民病院・消化器内科), 徳井 未奈礼(岡崎市民病院・消化器内科), 坂野 閣紀(岡崎市民病院・消化器内科), 飯塚 昭男(岡崎市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】コレステロール結晶塞栓症(cholesterol crystal embolization:以下CCE)は,大血管のアテローム粥腫の崩壊から生じたコレステロール結晶による全身性微小塞栓症で,腎臓を中心とする多臓器障害を来し予後不良とされる.当院において胆嚢炎を契機にCCEと診断された5例について検討した.【対象と方法】対象は2007年1月1日から2013年2月28日に当院において胆嚢の病理標本からCCEと診断された5例.その臨床的特徴について検討した.【結果】年齢は67歳から81歳で平均年齢72歳,すべて男性であった.基礎疾患は,脳梗塞2例,高血圧5例,糖尿病2例,慢性腎不全1例であった.3例で喫煙歴があった.2例で心臓カテーテル検査,3例で抗凝固療法の施行歴があった.胆嚢炎,胆管炎にて加療となった症例のため,主訴は全例で腹痛であった.4例で胆石を認め,胆石胆嚢炎の診断で経皮的胆嚢ドレナージ術を施行したが,2例は発熱が遷延し,1例は敗血症から多臓器不全となり死亡した.1例は総胆管結石,胆管炎にて内視鏡的採石術を施行した.4例は胆嚢摘出術を施行し,胆嚢の病理標本からCCEの所見を認めた.死亡した1例は剖検にて腎,副腎,膵,脾,胆嚢,小腸と全身からCCEの所見を認めた.3例は術後もフォローされ,腎不全などCCEによる障害はみられず経過良好である.【考察】CCEの危険因子には高齢,男性,高血圧,糖尿病,腎不全,動脈硬化,喫煙があげられ,自然発症は少なく,血管内カテーテル操作や抗凝固療法など医原性の関与が指摘されている.当院の検討でも,高齢の動脈硬化性疾患をもつ男性に多く,半数で心臓カテーテル検査,抗凝固療法の施行歴があったが,2例はとくに誘因はなく自然発生と考えられた.胆嚢ドレナージ後も発熱が続いた1例は,血性胆汁が持続しCCEによる虚血性変化の影響と考えられた.血性胆汁を伴い遷延する胆嚢炎の場合はCCEの関与を考慮する必要もあると考えられた.【結語】胆嚢炎を契機にCCEと診断された5例について検討した.
索引用語 CCE, コレステロール塞栓