セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓(基礎) |
---|---|
タイトル | 消P-154:MiR-365によるゲムシタビン耐性誘導機構の検討 |
演者 | 濱田 晋(東北大病院・消化器内科) |
共同演者 | 佐藤 賢一(宮城県立がんセンター研究所・がん幹細胞研究部), 正宗 淳(東北大病院・消化器内科), 菅野 敦(東北大病院・消化器内科), 菊田 和宏(東北大病院・消化器内科), 粂 潔(東北大病院・消化器内科), 廣田 衛久(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】マイクロRNAは多数の遺伝子発現を網羅的に制御することで細胞機能を変化させる重要な制御分子である.我々はこれまで,浸潤性膵癌(IDA)と膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)のマイクロRNA発現プロファイルを網羅的に比較することにより浸潤性増殖に寄与する複数のマイクロRNAを同定した.今回,IDAにおいて発現が有意に増加するマイクロRNAのうち,ゲムシタビン処理後の膵癌細胞生存率を増加させるものを同定し,耐性を誘導する機構について検討を行った.【方法】マイクロRNA導入はヒト膵癌細胞株Panc-1およびAsPC-1へmiR-365 precursorまたはcontrol precursorをリポフェクションして行った.ゲムシタビン処理72時間後の細胞生存率はMTTアッセイにて評価した.マイクロRNA導入後の遺伝子発現プロファイルをAgilent社のWhole Human Genome oligo DNA microarrayにて比較した.miR-365標的遺伝子であるSHC1の発現レベルはウエスタンブロットにて確認し,ノックダウンはSHC1に対するsiRNAをリポフェクションして行った.【成績】miR-365導入はゲムシタビン処理後の細胞生存率を有意に上昇させ,ゲムシタビン耐性を誘導していた.microarrayによる解析ではmiR-365導入により細胞生存に寄与するID2や細胞増殖を促進するS100P発現の増加が認められた.一方,3’UTRにmiR-365結合配列を有し,標的遺伝子となりうるSHC1の発現低下が確認された.SHC1は酸化ストレスやミトコンドリア依存性のアポトーシス誘導に関わる分子であり,siRNAによるノックダウンはmiR-365と同様にゲムシタビン耐性を誘導することが確認された.【結論】miR-365は膵癌細胞の細胞生存性を増強する因子として作用することが明らかとなった.miR-365により発現が抑制されるSHC1は膵癌細胞のゲムシタビン感受性に影響する分子である可能性が示唆された.miR-365/SHC1を介する経路はゲムシタビン耐性を克服する治療標的となる可能性が期待される. |
索引用語 | miR-365, ゲムシタビン |