セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓(基礎) |
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タイトル | 消P-158:膵臓がんにおけるIRF1およびIRF2の発現とその働き |
演者 | 酒井 利隆(秋田大・消化器内科) |
共同演者 | 眞嶋 浩聡(秋田大・消化器内科), 山田 由美(秋田大・消化器内科), 後藤 隆(秋田大・消化器内科), 吉岡 政人(秋田大・消化器外科), 打波 宇(秋田大・消化器外科), 山本 雄造(秋田大・消化器外科), 大西 洋英(秋田大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】我々はインターフェロン制御因子(Interferon regulatory factor, IRF)2が急性膵炎の発症に関与する因子であることを明らかにした.膵炎は膵癌のリスクファクターであり,IRF1は癌抑制遺伝子,IRF2は癌遺伝子としての機能も報告されている.今回,IRF1,2の発現と膵臓がんの関連ついて検討した.【方法】当院にて外科的切除を行った膵臓がん47症例について,IRF1,2の発現と臨床病理学的特徴を比較検討した.またヒト膵臓癌由来細胞株であるPANC-1を用い,コントロール細胞(PANC-1/cont),IRF1過剰発現細胞(PANC-1/IRF1),IRF2過剰発現細胞(PANC-1/IRF2),不活性型IRF2過剰発現細胞(PANC-1/dnIRF2)を作成し,細胞増殖(細胞数,BrdU取り込み),タンパク発現の変化(Western Blot),アポトーシス(TUNEL),Gemcitabine(GEM)への反応性(MTT)等を検討した.【成績】膵臓がん組織においては,正常の膵組織と比較しIRF1の発現が抑制され,IRF2の発現が増強していた.またIRF1の発現が強いほど腫瘍の進展度が低く,腫瘍径が小さく,生存期間が長く,IRF2の発現が強いほど腫瘍の進展度が高く,TNM stageが進行しており,生存期間も短いという結果であった.またPANC-1/IRF2は細胞増殖が亢進し,PCNA,Cyclin-D1等の細胞周期に関わるタンパクの発現が亢進していた.アポトーシスはPANC-1/IRF2で抑制され,PANC-1/IRF1で亢進していた.GEM存在下における細胞活性はPANC-1/IRF1,PANC-1/dnIRF2で濃度依存性に有意に減少したが,PANC-1/IRF2では逆に減少が抑制された.【結論】膵臓がんにおいてIRF1は腫瘍形成を抑制する方向に,IRF2は促進する方向に働いている.また,膵臓がん細胞においてIRF2の発現は細胞増殖を亢進,アポトーシスを抑制,GEMへの抵抗性を示し,IRF1は逆であった.膵臓がんにおいてIRF-1は癌抑制遺伝子,IRF-2は癌遺伝子として働く可能性が示唆され,これらは膵臓がん治療の新たな標的となりうると考えられた. |
索引用語 | IRF, 膵臓がん |