セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(診断)

タイトル 消P-161:

TS1膵癌7例の検討

演者 水谷 泰之(東海中央病院・消化器内視鏡センター)
共同演者 大塚 裕之(東海中央病院・消化器内視鏡センター), 藤塚 宣功(東海中央病院・消化器内視鏡センター), 石川 英樹(東海中央病院・消化器内視鏡センター)
抄録 【目的】TS1膵癌は主病巣の最大径が2.0cm以下の膵癌であり,通常型膵癌の中では予後良好とされている.今回われわれはTS1膵癌の臨床像・画像所見について検討を行った.【方法】2008年1月から2013年2月までの間に当院消化器内科においてTS1膵癌と診断された7症例を検討した.検討項目は1)臨床的特徴,2)画像所見,3)ブラシ細胞診・EUS-FNA,4)術後経過とした.【成績】1)7例の平均年齢は75.4歳(63-90歳)であった.性別は男性4例(57%),女性3例(43%)であった.腫瘍存在部位は膵頭部/膵鉤部/膵体尾部,2例(29%)/2例(29%)/3例(42%)であった.術後stageはstage1/2/3/4a/4b =3(43%)/0/3(43%)/0/1(24%)と,TS1膵癌のうちstage1の割合は43%と高い傾向であった.発見契機は黄疸1例(14%),腹部症状3例(43%),無症状3例(43%)であった.血清学的マーカー陽性はCEA 1例(14%),CA19-9 3例(43%)であった.IPMNは1例(14%),膵嚢胞は0例に見られ,糖尿病は3例(40%)に見られた.2)画像検査における腫瘍検出率はEUS 7例(100%),CT 5例(71%),US 3例(43%)の順に高く,主膵管の二次的変化はUS,CTいずれの検査でも71%に見られた.1例は膵管の高度狭窄のため膵管造影を得られず,ERPによる主膵管の狭窄は6例中3例(50%)に見られた.3)ブラシ細胞診・EUS-FNAの癌陽性率は,膵管ブラシ細胞診0%(0/3),EUS-FNA 100%(3/3)であり全体で60%(3/5)であった.4)術後観察期間中央値は387日であり,再発を2例(29%)に認めた.再発形式・再発までの期間は,腹膜再発1例(術後7ヶ月),断端近傍再発(術後4ヶ月)であり,生存中3例,死亡3例(1例は術後事故により死亡),不明1例(転居)であった.【結論】膵癌の長期成績について2007年膵癌登録報告で3年生存率は,stage1でも42.6%ときわめて不良であり早期発見が望まれる.当院の検討ではEUSが早期膵癌の診断に最も有用であった.EUSは外来で施行できる検査であり,膵癌高危険度群に対して積極的に施行することが勧められる.
索引用語 TS1膵癌, 診断