抄録 |
【目的】膵癌の年間死亡率は年々増加しているが,早期診断は困難である.早期診断を目的としたUS,CT,MRIはそれぞれ長所,短所があり組み合わせて診断をすることが勧められている.一方,膵癌の危険因子として,膵のう胞,慢性膵炎などが知られている.そこで,今回我々は膵管,膵のう胞性の描出に優れているMRI/MRCPを用いて,これらの膵がん高危険因子の陽性者の頻度について検討した.【方法】当院で施行されたMRCP257例を対象とし,検査の契機理由別に膵管拡張,膵嚢胞の有所見率を解析した.対象は平均年齢71歳,男性111名,女性134名であった.また,当院では健常者を対象にMRI/MRCP健診を実施した.【結果】257例中嚢胞性病変33例,膵管拡張例32例に認めた.また,MRI/MRCP施行した57人中のべ7人に膵に異常所見を認めた.MRI/MRCP健診は現在50名以上に施行しているが,その有所見率についても合わせて報告する.【結果】MRI/MRCPを積極的に施行することにより,膵癌の診断のみならず,膵癌高危険群の囲い込みが可能になると考えられる.有所見者の経過観察のプロトコールを確立する必要がある.また,MRI/MRCP健診にも積極的に取り組む必要がある. |