セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(膵炎)

タイトル 消P-169:

急性膵炎後の経過観察中に発見された膵癌症例の検討

演者 景岡 正信(藤枝市立総合病院・消化器内科)
共同演者 丸山 保彦(藤枝市立総合病院・消化器内科), 大畠 昭彦(藤枝市立総合病院・消化器内科), 森 雅史(藤枝市立総合病院・消化器内科), 志村 輝幸(藤枝市立総合病院・消化器内科), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院・消化器内科), 渡辺 文利(浜松南病院・消化器病・IBDセンター)
抄録 【目的】急性膵炎の成因として稀ではあるが膵癌があげられる.また一方急性膵炎後の経過観察中に膵癌が発見されるケースもある.今回急性膵炎後の経過観察中に発見された膵癌症例を検討した.【対象と方法】1991年9月から2011年5月までの間に当科にて急性膵炎と初回診断され6ヶ月以上経過観察された186例を対象とし,膵癌発症を検討した.なお急性膵炎には慢性膵炎の急性増悪やERCP後急性膵炎は含まない.【結果】186例の内訳は男性124例女性62例.平均年齢57.6±18.3歳(17~95歳).平均観察期間64.7±55.6ヶ月(6~238ヶ月).急性膵炎の成因はアルコール性73例,特発性58例,胆石性40例,その他15例(うち膵癌2例).急性膵炎の再発はそれぞれ42.5%,20.7%,5.0%,20.0%であり,特発性再発性急性膵炎からのみ2例(16.7%)に膵癌が発症した.症例1. 44歳男性.重症急性膵炎を2回発症.初回膵炎後3か月のMRCPでは明らかな異常所見を認めず.45ヶ月後に膵頭部癌が発見され膵頭十二指腸切除施行.症例2. 68歳女性.重症急性膵炎2回,軽症急性膵炎2回を発症.初回膵炎後37ヵ月のMRCP,および42ヶ月後のEUSでは明らかな異常を認めず.64ヵ月後に手術不能膵体部癌が発見され化学療法が施行された.【考察】急性膵炎後4~5年経過して膵癌が発症している事実から,急性膵炎症例は膵炎軽快後に一度膵の精査を行うだけに留まらず,定期的な経過観察が望ましい.特に特発性再発性急性膵炎は高率に膵癌を発症しており注意が必要である.急性膵炎後の膵管精査は急性膵炎のリスクのあるERCPを避けMRCPとする傾向にある.しかし特発性(特に再発性)急性膵炎に対しては積極的にERCPを考慮すべきかも知れない.
索引用語 急性膵炎, 膵癌