セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(膵炎)

タイトル 消P-172:

急性期にERPにより診断し得たIIIb型膵損傷4症例の経験

演者 宜保 淳也(麻生飯塚病院・消化器内科)
共同演者 本村 廉明(麻生飯塚病院・消化器内科), 金山 兼司(麻生飯塚病院・消化器内科), 福田 慎一郎(麻生飯塚病院・消化器内科), 濱田 匠平(麻生飯塚病院・消化器内科), 大塚 宜寛(麻生飯塚病院・消化器内科), 蓑田 洋介(麻生飯塚病院・消化器内科), 岩尾 梨沙(麻生飯塚病院・消化器内科), 久保川 賢(麻生飯塚病院・消化器内科), 赤星 和也(麻生飯塚病院・消化器内科)
抄録 膵損傷は腹部外傷の3.1~6.2%といわれ比較的稀な外傷である.治療方針決定に最も重要な情報は主膵管損傷の有無とされるが,その評価は必ずしも容易ではない.【症例1】20歳,男性.平成22年8月バイクで走行中に乗用車と正面衝突し受傷.CTにて膵体部の低吸収域と血管外造影剤漏出像あり.受傷13時間後にERPを施行し,膵体部主膵管の断裂と造影剤の漏出あり.IIIb型膵損傷と診断し受傷16時間後に膵体尾部切除・脾臓摘出術を施行.術後現在まで経過は良好である.【症例2】32歳,男性.平成23年9月路上に仰臥していたところ乗用車に腹部に乗り上げられ受傷.救急隊接触時心配停止状態であり,その後救命処置により回復.肝損傷からの出血に対し受傷6時間後に血管内塞栓術を施行.受傷3日目にERPを施行し,体尾部移行部で主膵管は完全断裂しておりIIIb型膵損傷と診断した.受傷4日目に脾温存膵体尾部切除・空腸瘻造設術を施行.術後32日目に自宅退院となり現在まで経過良好である.【症例3】41歳,男性.平成24年4月作業中に高所から転落し腹部を強打し受傷.CTにて膵周囲の広範な血腫と膵体部に増強不良域あり,受傷20時間後にERPを施行.膵体部にて主膵管は断裂し,IIIb型膵損傷と診断.内科的治療で状態安定後第40病日に自宅退院となったが,膵管断裂部の仮性嚢胞が残存し現在も経過観察中である.【症例4】27歳,男性.精神発達遅滞のため施設入所中.平成24年6月施設内で腹部を強打され受傷し,受傷13時間後に当院搬送.CTにて膵尾部の裂傷が疑われ,受傷16時間後にERPを施行.膵尾部主膵管より造影剤の漏出あり,IIIb型膵損傷と診断.保存的治療にて経過良好のため第41病日に退院となったが,最近膵尾部断裂部の仮性嚢胞が増大し,手術も視野に入れ経過観察中である.【考察】ERPにより確実にIIIb型膵損傷を診断し得た4症例を経験した.急性期であっても検査に伴う合併症は認めず,治療方針決定に有用であると考えられた.
索引用語 膵損傷, ERP