セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(膵炎)

タイトル 消P-173:

慢性膵炎の経過中に著明な出血性貧血を認め血管内治療を行なった3例の検討

演者 深見 裕一(土浦協同病院・消化器内科)
共同演者 小堀 郁博(土浦協同病院・消化器内科), 鈴木 康平(土浦協同病院・消化器内科), 鈴木 雄一郎(土浦協同病院・消化器内科), 安斎 翔(土浦協同病院・消化器内科), 松井 徹(土浦協同病院・消化器内科), 舛石 俊樹(土浦協同病院・消化器内科), 古谷 晴子(土浦協同病院・消化器内科), 市田 崇(土浦協同病院・消化器内科), 草野 史彦(土浦協同病院・消化器内科), 酒井 義法(土浦協同病院・消化器内科), 田澤 潤一(土浦協同病院・消化器内科)
抄録 【症例1】48歳男性.飲酒歴あり吐血にて受診した.腹部CTで膵の石灰化,胃体後壁に深い潰瘍と膵尾部との連続性を認め,上部消化管内視鏡検査(GS)で胃体上部後壁の瘻孔と瘻孔内の凝血塊を認めた.慢性膵炎による膵仮性嚢胞の胃穿通と仮性動脈瘤からの出血を疑った.経過で出血性ショックとなり緊急血管塞栓術を行なった.血管造影にて左胃動脈の末梢に仮性動脈瘤を認め,同部位を塞栓した.合計28単位の赤血球濃厚液(MAP)輸血を行った.治療後は再出血を認めず,GSで胃壁瘻孔部の閉塞を確認した.【症例2】36歳男性.腹痛にて受診し,強い正球性貧血を認めた.腹部CTで膵の石灰化と11cm大の膵仮性嚢胞と嚢胞内の高吸収域を認めた.胃壁は強く圧排されており,同部位で筋層の連続性が消失していた.GSで胃内に明らかな出血源なく胃体上部後壁から強い壁外性圧迫を認めた.慢性膵炎の膵仮性嚢胞内出血を疑った.待機的に血管造影を施行したが仮性動脈瘤や血管外漏出所見は認めなかったことから,塞栓術は施行せず保存的に加療した.腹部CTで嚢胞の縮小を認め,貧血の改善を確認した.【症例3】44歳男性,特発性慢性膵炎に対する加療中に腹痛・発熱を認め,腹部造影CT施行し,膵の石灰化と膵仮性嚢胞を認めた.その後多量に吐血し,GSにて主乳頭から持続出血を認めた.合計6単位のMAP輸血を行ない,血管造影検査にて背側膵動脈に10mm大の仮性動脈瘤を認めた.Hemosuccous pancreaticus(HP)と診断した.血管塞栓術にて動脈瘤を塞栓し止血を得た. 慢性膵炎の経過中に著明な貧血を認めた3例を経験した.いずれも血管造影により仮性動脈瘤の有無について診断し,治療が奏効した例であった.慢性膵炎の経過中に膵仮性嚢胞を合併することは多いが,膵嚢胞内出血の胃穿通やHPは稀である.本症例を通じて血管造影による仮性動脈瘤の評価の重要性と,動脈瘤塞栓術の有効性について検討する.
索引用語 慢性膵炎, 血管内治療