セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(膵炎)

タイトル 消P-174:

膵石症治療の短期・長期成績

演者 大山 広(千葉大附属病院・消化器内科)
共同演者 石原 武(千葉大附属病院・消化器内科), 横須賀 收(千葉大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】当科における膵石症治療例を検討し,短期治療成績,長期経過後の治療効果を明らかにする.
【方法】対象は,1991年から2012年までに当科で膵石治療を施行した膵石症227例(男性173例,女性54例).平均年齢は48.8歳(5-78歳),成因はアルコール性149例,非アルコール性78例であった.治療適応は有症状の膵管内膵石患者で,治療方針はESWLと内視鏡治療を併用した.治療効果のうち排石の評価は,膵管造影により完全排石,部分排石,無効の3段階で判定した.疼痛の評価は4段階の疼痛スコアで判定した.膵内・外分泌機能の評価は長期経過観察可能であった症例を対象とし,それぞれ75gOGTT値,HbA1c値,PFD値にて行った.
【結果】227例中,完全排石は136例(59.9%),部分排石は78例(34.4%),無効は13例(5.7%)であった.疼痛改善効果は201例(88.5%)で認められ,治療前後で疼痛スコアは有意に改善(P<0.0001)し,主膵管径は有意に縮小した(P<0.0001).多変量解析の結果,ESWLによる破砕効果が最も排石に寄与する因子と考えられた(P<0.0001).ESWL,内視鏡治療ともに重篤な合併症を認めなかった.疼痛の改善が得られた201例のうち長期経過観察(平均観察期間111.9か月)した148例では,33例(22.3%)で疼痛の再燃がみられ,疼痛再燃例では主膵管狭窄が有意に多かった(P=0.046).膵内・外分泌機能を治療前と長期経過後で比較したところ,内分泌機能については,糖尿病患者は有意に増加(P=0.022)しHbA1c値は有意に増悪(P=0.046)していた.外分泌機能についてはPFD値に有意な低下がみられた(P=0.041).
【結論】膵石症に対するESWL,内視鏡的治療は疼痛改善に有用な治療法と考えられた.一方,長期的には膵内・外分泌機能の低下がみられるため,膵石治療後も随伴する症状の出現に注意し対応を要するものと考えられた.
索引用語 慢性膵炎, 膵石