セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎1)

タイトル 消P-175:

自己免疫性膵炎における涙腺・唾液腺病変合併症例の臨床的特徴

演者 小口 貴也(信州大・消化器内科)
共同演者 金井 圭太(信州大・消化器内科), 渡邊 貴之(信州大・消化器内科), 丸山 真弘(信州大・消化器内科), 村木 崇(信州大・消化器内科), 浜野 英明(信州大・消化器内科), 新倉 則和(信州大・内視鏡センター), 川 茂幸(信州大総合健康安全センター)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎と涙腺・唾液腺炎は代表的なIgG4関連疾患であり,自己免疫性膵炎に涙腺・唾液腺炎が合併した病態は活動性が高いという報告がある.本研究では,自己免疫性膵炎に涙腺・唾液腺炎が合併した病態の臨床学的特徴および涙腺・唾液腺炎合併に関連する遺伝子を明らかにすることを目的とし,検討を行った.
【対象と方法】1992年~2012年の期間に当科で診断し治療を行った涙腺・唾液腺病変を合併した自己免疫性膵炎群60例,非合併群47例に対し各種血清マーカーおよび画像所見について比較検討した.また,Affimetrix社製SNPチップ,GeneChip Human Mapping 500k Array Set(500,568 SNPs)を用いて,全ゲノム網羅的な相関解析(genome-wide association study: GWAS)を行い,涙腺・唾液腺病変陽性(n=55)と陰性(n=56)の患者群間において,アリル頻度に有意差を示すSNPsを検索し,これらのSNPsと関連する遺伝子を同定した.
【結果】涙腺・唾液腺炎合併群は非合併群と比較して活動性マーカーであるIgG,IgG4,β2ミクログロブリン,可溶性IL2受容体が有意に高値であり,膵外病変である後腹膜線維症の合併を多く認めた.自己免疫性膵炎例で涙腺・唾液腺病変非合併と合併の患者群間において,アリル頻度にp<0.0001で有意差を示すSNPsから5種類の感受性遺伝子および4種類の抵抗遺伝子が検出された.
【結論】自己免疫性膵炎において涙腺・唾液腺病変の合併例は活動性が高い病態であると推察された.自己免疫性膵炎例で涙腺・唾液腺病変合併には9種類の関連遺伝子が関与する可能性が示唆された.
索引用語 自己免疫性膵炎, 涙腺・唾液腺病変合併