セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎1)

タイトル 消P-178:

膵腫瘍マーカーはIgG4の自己免疫性膵炎と膵癌の鑑別能を補完できるか?

演者 金井 圭太(信州大・消化器内科)
共同演者 小口 貴也(信州大・消化器内科), 丸山 真弘(信州大・消化器内科), 渡邉 貴之(信州大・消化器内科), 村木 崇(信州大・消化器内科), 浜野 英明(信州大・消化器内科), 新倉 則和(信州大・内視鏡センター), 川 茂幸(信州大総合健康安全センター)
抄録 【目的】限局性の自己免疫性膵炎には膵癌との鑑別困難例が存在する.IgG4は自己免疫性膵炎と膵悪性腫瘍との鑑別能は優れているが,IgG4陰性自己免疫性膵炎例,IgG4陽性膵悪性腫瘍例も存在し,これらに対する有用な鑑別マーカーが望まれる.膵腫瘍マーカーCA19-9は膵癌と良性疾患との鑑別に有用であり,DUPAN-2はルイス式血液型陰性によるCA19-9陰性例の診断も可能である.本研究では膵腫瘍マーカーがIgG4の自己免疫性膵炎と膵悪性腫瘍の鑑別能を補完できるか検討した.【方法】限局型自己免疫性膵炎33例(男性25人,女性8人,年齢中央値69歳(38~84歳)),臨床的に自己免疫性膵炎と鑑別が問題となった膵に限局する膵悪性腫瘍の手術例31例(男性20人,女性11人,年齢中央値66歳(27~83歳))を対象に,IgG4, CA19-9, DUPAN-2 値を比較検討した.【成績】感度・特異度・正診率は,IgG4は88%・90%・89%(自己免疫性膵炎を対象),CA19-9 or DUPAN-2は68%・ 76%・42%(膵悪性腫瘍を対象)であった.自己免疫性膵炎33例中,膵腫瘍マーカー陽性を8例 (CA19-9 7例,DUPAN-2 4例) 24%に認め,膵癌31例中,IgG4陽性例を3例,9.7%に認めた.さらに,IgG4陰性,CA19-9陽性自己免疫性膵炎例,IgG4陽性,CA19-9陰性膵悪性腫瘍例を1例ずつ認めた.自己免疫性膵炎例で腫瘍マーカーと胆道系酵素,各種活動性マーカーとの関連を検討した結果,DUPAN-2とALPで有意な相関を認め,自己免疫性膵炎例での上昇機序は胆汁うっ滞と考えられた.【結論】膵腫瘍マーカーは胆汁うっ滞の影響を受け自己免疫性膵炎例でも陽性例を認め,IgG4の自己免疫性膵炎と膵癌の鑑別能を補完することはなかった.
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵癌