セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎1)

タイトル 消P-180:

自己免疫性膵炎の診断における造影EUSの役割

演者 播磨 博文(山口大・消化器病態内科学)
共同演者 戒能 聖治(山口大・消化器病態内科学), 川野 道隆(山口大・消化器病態内科学), 末永 成之(山口大・消化器病態内科学), 仙譽 学(山口大・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大・消化器病態内科学)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎(AIP)は典型的には膵のびまん性腫大をきたすが,限局性腫大を呈する場合もあり,しばしば診断に難渋する.EUS-FNAは膵癌の診断に有用な手技であるが,AIPの診断率は高くないのが現状である.今回我々は,造影EUS所見とEUS-FNAの結果を組み合わせることで,限局型AIPの診断が可能であるかを検討した.【方法】2005年4月から2012年3月までに当科で診断したAIP18例のうち限局型AIP9例(男性8例,女性1例,平均年齢66.4歳)を対象とした.AIPの診断は自己免疫性膵炎診断基準2011に準じて行った.EUS-FNAは9例全例に施行し,造影EUSは9例中6例に施行した.造影EUSは造影剤投与後2分間の観察を行い,造影パターンをHypervascularity, Isovascularity, Hypovascularityの3つに分類した.当科で膵癌と診断した40例の造影EUS所見と比較し検討を行った.【結果】腫大部位は頭部6例,体尾部3例で,膵外病変の併発は硬化性胆管炎を4例,唾液腺炎を2例,後腹膜線維症を1例に認めた.血清IgG4高値(>135 mg/dl)は8例(89%)に認めた.EUS-FNAは22G針を使用し,平均4回(2-8回)穿刺した.全例で検体採取に成功し,2例(22%)で病理組織学的にAIPと診断可能であった.6例(67%)は確定診断困難であったが悪性所見を認めなかった.1例(11%)は細胞診で異型細胞を認め,悪性病変が否定されず,手術が施行された.造影EUSは6例中5例(83%)がIsovascularityを示し,1例(17%)がHypovascularityを示した.一方,膵癌では40例中4例(10%)がIsovascularityを示し,36例(90%)がHypovascularityを示した.造影EUSでIsovascularityを示し,EUS-FNAで悪性所見が検出されなかった膵腫瘤を限局型AIPと診断した場合の正診率は89%(8/9)であった.【結語】造影EUSは限局型AIPの診断において補助的な役割が期待できる.
索引用語 自己免疫性膵炎, 造影EUS