セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎2)

タイトル 消P-181:

自己免疫性膵炎における顎下腺エコーの有用性および客観的診断能の評価

演者 高野 伸一(山梨大・1内科)
共同演者 佐藤 公(山梨大・1内科), 深澤 光晴(山梨大・1内科), 門倉 信(山梨大・1内科), 進藤 浩子(山梨大・1内科), 高橋 英(山梨大・1内科), 横田 雄大(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎(AIP)に高率に合併する顎下腺炎は,エコーを用いることで客観的評価が可能である.AIPにおける顎下腺エコー所見の特徴および客観性を明らかにするとともに,顎下腺エコー所見を重視することによるAIPと癌の鑑別能,AIP診断能向上の可能性を検討した.【対象と方法】対象は顎下腺エコーを施行したAIP28例および膵癌49例.AIPの診断は国際コンセンサス診断基準および自己免疫性膵炎臨床診断基準2011に基づき行った.検討1:顎下腺エコー所見の特異性を評価するために,AIPと膵癌でみられる顎下腺エコーの所見を比較した.検討2:顎下腺炎の診断における顎下腺エコー所見の客観性評価のため,得られた顎下腺エコー所見の複数医師による診断一致率を検討した.検討3:AIP症例30例を臨床診断基準2011および国際コンセンサス診断基準に当てはめ,顎下腺エコー所見を重視することによる診断能向上の可能性を検討した.【結果】結果1:AIPでの顎下腺エコーの所見としては低エコー結節を82.1% (23/28),実質不均一を10.7% (3/28) に認めた.低エコー結節を顎下腺炎の所見とすると,膵癌との鑑別において感度82.1%,特異度100%,正診率93.5%であった.結果2:2名の医師による顎下腺低エコー結節の診断一致率を検討したところ,kappa係数は0.91 (95%CI : 0.81-1.01, p<0.001) で,極めて高い一致率であった.結果3:AIP28例中,診察やGaシンチで診断できず,顎下腺エコーで顎下腺炎の診断ができたのは6例 (21.4%) であった.AIPの確定診断をするのに顎下腺エコーが必須であった症例は国際コンセンサス基準で2例 (7.1%),臨床診断基準2011で1例 (3.6%) 存在した.【結論】顎下腺エコー検査における低エコー結節はAIPに極めて高頻度かつ特異的に見られ,客観的評価にも優れていた.膵外病変の診断法として取り入れることで,AIPの診断能向上に寄与すると考える.
索引用語 自己免疫性膵炎, 顎下腺エコー