セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎2)

タイトル 消P-182:

自己免疫性膵炎(AIP)診療の現状と問題点

演者 吉田 太之(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
共同演者 美登路 昭(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 沢井 正佳(奈良県立医大・中央内視鏡・超音波部), 上嶋 昌和(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 守屋 圭(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 堂原 彰敏(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 関 健一郎(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 中村 麻衣子(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 辻 裕樹(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 藤本 正男(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 吉治 仁志(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 山尾 純一(奈良県立医大・中央内視鏡・超音波部), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
抄録 【目的】AIPの診断や治療の現状を分析し,問題点を検討する【方法】対象は2003年-2012年に臨床経過も考慮してAIPと診断した27例(男性24例,女性3例,平均64.3歳)である.2011診断基準,包括診断基準の診断感度,さらに治療選択,治療効果,維持療法,予後について検討した.【結果】2011診断基準の感度は96.3%(確診81.5%,準確診11.1%,疑診3.7%).2006年診断基準で診断困難な8例中7例が,びまん型の取り扱いやステロイドオプションの導入により確診,準確診,疑診となった.包括診断基準の感度は81.5%(確診11.1%,疑診70.4%)で,組織診断が困難なため疑診例が多かった.ステロイド(プレドニン)は20例に投与され,内訳は膵外病変(硬化性胆管炎13例,下垂体炎,外眼筋炎,間質性腎炎,硬化性唾液腺炎)の治療目的が17例,悪性疾患との鑑別目的が3例であった.初期投与量は平均30.5mg(0.58mg/kg)で2週後のCT検査にて膵腫大は全例改善した.ステロイド中止4例のうち2例は寛解を維持.2例は硬化性胆管炎再燃のため再開.16例は中止できず維持療法を施行(平均維持量4.9mg).中止できない理由は,ステロイド減量中の膵外病変の出現(2例),悪化(4例),残存(9例)と,IgG4の高値持続(1例)であった.膵腫大が再燃したのは,ステロイド中止後に硬化性胆管炎が再燃した2例のみ.平均50.1カ月間の観察で維持療法を施行中の2例が死亡(後腹膜線維症からの腎盂腎炎による敗血症ショック1例,胆管癌発症1例).【結論】組織診断が困難な現状でも,2011診断基準の感度は良好であった.ステロイド治療の効果は良好で,膵外病変の再燃,悪化,残存などのため多くの症例で維持療法が必要であった.長期の維持療法に際しては感染症の合併や発癌に注意すべきである.
索引用語 自己免疫性膵炎, 診断