セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍1)

タイトル 消P-187:

膵神経内分泌腫瘍pNETに対する腹腔鏡下核出術(LPE)の検討

演者 三澤 健之(東京慈恵会医大・外科)
共同演者 岩瀬 亮太(東京慈恵会医大・肝胆膵外科), 二川 康郎(東京慈恵会医大・外科), 熊谷 祐(東京慈恵会医大・外科), 島田 淳一(東京慈恵会医大・外科), 奥井 紀光(東京慈恵会医大・外科), 筒井 信浩(東京慈恵会医大・外科), 柴 浩明(東京慈恵会医大・外科), 脇山 茂樹(東京慈恵会医大・外科), 石田 祐一(東京慈恵会医大・外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 【はじめに】当科では膵の良性または低悪性度病変に対し,これまで48例の腹腔鏡下膵切除術(脾温存膵尾側切除,脾合併膵尾側切除,膵中央切除,LPE)を施行した.このうち,LPEはときに病変が膵実質内に埋没して術中の局在診断が困難,病変が主膵管に近接している,腫瘍のマージンが判りにくい,あるいは膵実質からの出血で視野が取りにくい,などの理由から開腹移行率が高く,難度の高い手術とされる.【目的】今回われわれは病変局在を異にするpNET 3例に対してLPEを施行して良好な結果を得たので,アプローチの違いや術式の工夫・注意点を提示する.症例1:50歳代男性.膵体部の12×11mmの非機能性pNET.病変は膵実質内に埋没し,主膵管との最短距離は4mmと主膵管損傷のリスクあり.主膵管損傷を避ける目的で,術前に内視鏡的経鼻経乳頭的膵管ステントを留置.気腹下に4ポートで手術を行った.腫瘍は視認できず,術中超音波検査を用いて局在を確認した.腫瘍直上の膵実質に支持糸をかけ,これを牽引しつつ膵実質を電気メスとLCSを用いて切離.核出終了後にステントから術中膵管造影を行い,主膵管損傷の無いことを確認し得た.手術時間240分,出血少量.患者は合併症なく術後8日目に退院.症例2:50歳代女性.膵体部で膵外に突出する径15×15mmの非機能性pNET.腫瘍は脾動脈に近接.電気メスとvessel sealerを用い,腫瘍被膜損傷に注意しながら核出術施行.手術時間130分,出血少量.合併症なく術後2日目に退院.症例3:30代女性.低血糖発作を繰り返す膵鈎部,径10mmのインスリノーマ.5ポートで十分なKocher授動後に膵頭部を反転させて超音波で局在を確認.支持糸で牽引しつつLCSで核出施行.手術時間284分,出血量50ml,合併症なく術後8日目に退院.【結語】安全・確実なLPEの施行には術中超音波検査の準備,必要に応じた術前膵管ステント留置,臨機応変なポートサイト,LCSによる膵実質切離が有用と考える.
索引用語 膵神経内分泌腫瘍, 腹腔鏡下核出術