セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍1)

タイトル 消P-188:

当科における膵癌治療の現状と成績

演者 鎌田 英紀(香川大・消化器・神経内科)
共同演者 小野 昌弘(香川大・消化器・神経内科), 有友 雄一(香川大・消化器・神経内科), 加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科), 野村 圭(香川大・消化器・神経内科), 藤森 崇行(香川大・消化器・神経内科), 小林 聖幸(香川大・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【目的】膵癌は極めて予後不良な疾患であり,根治治療としては手術しかなく,切除不能進行膵癌に対しては,生存期間の延長を 目的とした緩和的な化学療法が実施されている.膵癌に対する化学療法としては,GEMやS-1を中心とした治療が 標準的であるが,十分な成績とはいえず,様々な臨床試験や 工夫が進められているのが現状である. 今回,当院における膵癌治療の現状と成績を検討し,今後の課題を明確にしたい.【対象と方法】対象は2005年1月から2012年12月までに当科を受診した通常型膵癌患者94例中転帰の確認できた86例 (男性/女性:45例/41例・平均年齢:70.0歳).検討項目は,A患者背景:1.初診時のStage分類・2.エビデンスの有無・3.手術の有無・4.初期化学療法の使用薬剤・5.2次化学療法の有無・6.転移巣.B治療成績:1.全症例・2.Stage別・3.手術の有無・4.2次化学慮法の有無・5.転移巣別のそれぞれ全生存期間とした.【結果】A:1.初診時のStageは4a以上が90%を占めていた.2.FNA導入以前では46%の症例でエビデンスが得られていなかった.3.切除症例は17%であった.4.初期化学療法の使用薬剤はGEMが最も多かった.5.2次化学療法は30%に施行されていた.6.転移巣は肝転移と局所進行がともに約40%を占めていた.B:1.全症例の全生存期間中央値は359日であった.2.Stage別の生存期間中央値は4bが最も短かった.3.手術の有無では手術症例で有意に生存期間が延長していた.4.2次化学療法の有無では生存期間に有意差はみられなかった.5.転移巣別では肝転移症例のMSTは165日と最も短く,肺転移症例のMSTは1069日と最も長かった.【結語】当科における膵癌診療では初診時進行例が多く,早期発見のための工夫が必要と思われた.また,肺転移症例では他の転移形式と比べて明らかに予後の延長が期待でき,その病理学的特徴や遺伝子学的特徴などについて検討を加える必要があると思われた.
索引用語 膵癌, 治療