セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓(腫瘍1) |
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タイトル | 消P-190:(Pro)renin receptorはWnt/β-catenin signalingを介して膵癌の進展に寄与する |
演者 | 藤森 崇行(香川大・消化器・神経内科) |
共同演者 | 柴山 弓季(香川大・薬理学), 谷内田 真一(国立がん研究センター研究所・難治がん研究分野), 加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科), 有友 雄一(香川大・消化器・神経内科), 小野 昌弘(香川大・消化器・神経内科), 鎌田 英紀(香川大・消化器・神経内科), 西山 成(香川大・薬理学), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科) |
抄録 | 【目的】膵癌の進展においてWnt/β-catenin signaling pathwayの亢進が知られている.他の消化器癌においては遺伝子変異が認められている一方で,膵癌については別の制御メカニズムが存在する可能性がある.最近の研究で,(Pro)renin receptor ((P)RR)がWnt receptor complexのkey moleculeであることが判明した.そこで我々は膵癌で(P)RRの発現が増大し,Wnt/β-catenin signaling pathwayを通して(P)RRが膵癌の進展に寄与しているかどうかを検討した.【方法】組織標本は免疫染色,血清はsandwich ELISA,膵癌細胞株はWestern Blotを用いて(P)RR発現を解析した.Wnt/β-catenin signaling pathwayを介した(P)RRの機能に関してはWestern Blot,WST-1 assay,DNAフローサイトメトリーによって検討した.【結果】組織標本22のうち21標本で(P)RR発現の増大が認められただけではなく,前癌病変(PanIN-2,3)でも(P)RR発現の上昇が確認された.進行膵癌患者のsoluble (P)RR濃度はコントロールと比較して有意に上昇した.膵癌細胞株では正常膵管上皮細胞と比較して細胞のfull-length (P)RRおよび培養上清中のsoluble (P)RRともに上昇が確認された.膵臓癌細胞株においてrecombinant human Wnt3a (150 ng/mL)はLRP6のリン酸化を活性化し,active β-cateninの発現を上昇させた.一方で,(P)RR siRNA処理によって,LRP6の活性化は低下しactive β-cateninおよびCyclin D1の発現が有意に減少した.細胞分裂はWnt3a刺激促進する一方,(P)RR siRNA処理によって抑制された.分裂抑制の原因はFACSの結果アポトーシスによることが判明した.【結論】膵癌初期から顕著な(P)RR発現の上昇が認められ,膵癌患者でほぼ100%の(P)RR発現の亢進が明らかとなった.(P)RRはWnt/β-catenin signaling pathwayを介して膵臓癌の進展に寄与しており,今後有用な治療の対象となりうる. |
索引用語 | プロレニン受容体, 膵臓癌 |