共同演者 |
早川 宏(市立甲府病院・消化器内科), 小林 祥司(市立甲府病院・消化器内科), 高橋 英(山梨大・1内科), 進藤 浩子(山梨大・1内科), 雨宮 史武(市立甲府病院・消化器内科), 高野 伸一(山梨大・1内科), 深澤 光晴(山梨大・1内科), 山口 達也(市立甲府病院・消化器内科), 大塚 博之(市立甲府病院・消化器内科), 佐藤 公(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科), 板倉 淳(山梨大附属病院・1外科), 藤井 秀樹(山梨大附属病院・1外科) |
抄録 |
【背景・方法】膵癌に対する各種臨床試験結果が国内外から報告されているが,これらの研究は若年患者を対象に実施されており,試験結果をそのまま外挿できない高齢者の治療選択に難渋する事も多い.当院で治療を行った75歳以上の高齢膵癌患者63例を対象とし,若年患者と比較しながら治療成績の検討を行い生存に寄与する因子について解析を行った.【結果】全症例(男性28例,女性35例)の年齢中央値78歳,Performance statusは0/1/2それぞれ38/17/8例であった.生存期間中央値(MST)は458日であり,全身状態不良例等 BSCのみであった高齢膵癌患者23例のMST43日よりも有意に良好であった.NCCNガイドライン2011のResectability 別の検討ではResectable17例の MST580日,Borderline13例(切除8例/化学放射線療法1例/化学療法4例) のMST629日,Unresectableもしくは遠隔転移症例33例(局所進行5例,遠隔転移28例)の MST257日であり,それぞれ75差未満の症例のMST838日/535日/253日と比して有意差を認めなかった.同様の検討を80歳以上の症例18例に絞って行っても治療成績に有意差は認めなかった.いずれの治療法でも治療関連死は認めず,化学療法群の3例(9.1%)で毒性中止を認めた.Unresectableもしくは遠隔転移症例の生存に寄与する独立した因子として白血球数(HR1.01,p=0.005), CRP値(HR0.65,p=0.020),CEA値(HR1.08,p=0.008)および腹膜播種(HR21.3,p=0.013)が抽出された.切除例においてはResectabilityがNCCNガイドラインのresectableであることが生存に寄与する独立した因子として抽出された(HR14.5,p=0.032).【結語】高齢患者でも全身状態の保たれた症例では適切な治療により若年者と同様の予後延長効果を望め,積極的な治療の対象とすべきである. |