セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
膵臓(腫瘍2)
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タイトル |
消P-195:進行膵癌合併DICにおけるトロンボモジュリンα製剤の有用性の検討
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演者 |
松田 健二(筑波学園病院・消化器内科) |
共同演者 |
西 雅明(筑波学園病院・消化器内科), 小玉 夏美(筑波学園病院・消化器内科), 川島 玲(筑波学園病院・消化器内科), 川西 宣弘(筑波学園病院・消化器内科), 松木 康彦(筑波学園病院・消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大附属病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】進行膵癌において,初診時に播種性血管内凝固症候群(以下DIC)を合併していることは稀に経験し,ナファモスタットメシル酸塩等を併用しながら化学療法に踏み切ることもある.トロンボモジュリンα(以下TMα)はDIC治療薬として感染や膵炎などで使用されているが,膵癌に合併したDICに対するエビデンスが十分に確立されていない.【目的】進行膵癌に合併したDICに対するTMαの有効性を検討する【方法】2013年1月までに当院で加療された膵癌cStageIVにおいて初診時DICを合併していた26例中,感染等の他原因が否定できる症例を抽出した.【結果】胆管炎等合併のない進行膵癌におけるDIC症例は全9例.血小板数は12万/μl~8万/μlが 2例,8万~5万/μlが4例,5万/μl以下が3例.厚労省DICスコア>7点 7例,急性期DICスコア>10点 9例であった.DICの初期治療はTMα 3例,ヘパリン(以下H)3例,ナファモスタット(以下N)3例であった.ゲムシタビン(以下GEM)併用はTMα群 1例,H群 2例,N群 2例であった.DIC離脱例と離脱までの期間はTMα群で3例/平均9日(7-11日),H群では2例/平均12日(8-13),N群で2例/平均11日(8-13日)であった.GEM併用群では更に離脱期間は短くTMα群6日,H群11日,N群9日であった.H群とN群でDICコントロール不能例ではともにGEM導入困難例であり,早期死亡した.一方,TMα群では当初併用出来なかった2例も比較的早期にGEM導入でき,DICの再発なく平均26病日で退院した.これは他の2群より短い傾向にあった.副作用は,消化管出血をH群3例,N群1例認めた.【結論】進行膵癌では抗凝固療法を併用しながら抗癌剤治療に踏み切ることがある.固形癌のDIC合併頻度と症例数から有意差は出ないが,TMα群ではDIC改善ならびに入院期間を短縮する傾向にあった.他の抗凝固療法と比較すると副作用も少なく,DIC合併時の抗癌剤導入困難例の補助療法として有用な治療薬の可能性が示唆される. |
索引用語 |
膵癌, 播種性血管内凝固症候群 |