セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍2)

タイトル 消P-198:

切除不能膵癌患者の栄養指標におけるパンクレリパーゼ製剤の短期的効果の検討

演者 斎藤 友隆(東京大・消化器内科)
共同演者 平野 賢二(東京大・消化器内科), 川畑 修平(東京大・消化器内科), 高木 馨(東京大・消化器内科), 渡邉 健雄(東京大・消化器内科), 内野 里枝(東京大・消化器内科), 濱田 毅(東京大・消化器内科), 水野 卓(東京大・消化器内科), 宮林 弘至(東京大・消化器内科), 佐々木 隆(東京大・消化器内科), 木暮 宏史(東京大・消化器内科), 山本 夏代(東京大・消化器内科), 中井 陽介(東京大・消化器内科), 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 多田 稔(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】進行膵癌症例の多くは膵外分泌機能低下に伴う消化吸収能力低下を来たすと思われ,パンクレリパーゼ製剤(リパクレオン)がそのような症例の栄養状態改善に有効かを検討した報告は本邦で乏しい.今回,我々は切除不能膵癌化学療法施行症例にパンクレリパーゼを投与し,栄養指標の推移に与える短期的効果を明らかにすることを目的とした.【方法】(1)膵癌の初回化学療法開始時にパンクレリパーゼを導入した23例(男女比=12:11,平均年齢 66.8歳),(2)既に化学療法を導入された後にパンクレリパーゼを開始した18例(男女比=6:11,平均年齢69.4 歳),について投与前と8週後のBMI,アルブミン(Alb),プレアルブミン(PreAlb),総コレステロール(T.chol)の推移を調べた.また(1)のHistorical controlとして,(3)パンクレリパーゼ非投与の化学療法施行症例82例(男女比=49:33 ,平均年齢67.6歳)のBMI,Albの化学療法前,8週後の推移を調べた.【結果】(1)の症例の投与前後でBMI:22.5→22.4(p=0.443),Alb:3.47→3.48g/dl(p=0.898),PreAlb:17.8→17.4mg/dl(p=0.822),T.chol:168→168mg/dl(p=0.973),(2)の症例の投与前後でBMI(n=14):19.9→19.6(p=0.420),Alb:3.36→3.36g/dl(p=0.948),PreAlb (n=14):20.5→14.4mg/dl(p=0.286),T.chol (n=17):163→148mg/dl (p=0.099),(3)の症例の化学療法前,8週後でBMI(n=77):21.1→20.7(p=0.0025),Alb (n=79):3.68→3.52g/dl(p=0.0006)であった.(1)と(3)の症例の化学療法前後のBMI比,Alb比(後/前)の平均を比較すると,BMI比:1.00 vs 0.98(p=0.176),Alb比:1.01 vs 0.96 (p=0.072)であった.【結論】膵癌化学療法施行例において,化学療法導入時からのパンクレリパーゼ投与は8週後の栄養状態を良好に保つことに寄与する可能性が示唆された.
索引用語 膵外分泌機能低下, 膵癌