セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍3)

タイトル 消P-202:

当院における手術不能進行膵癌に対する化学療法の変遷

演者 矢野 正明(国立金沢医療センター・消化器科)
共同演者 羽柴 智美(国立金沢医療センター・消化器科), 吉田 真理子(国立金沢医療センター・消化器科), 丹尾 幸樹(国立金沢医療センター・消化器科), 丸川 洋平(国立金沢医療センター・消化器科), 太田 肇(国立金沢医療センター・消化器科)
抄録 【はじめに】Gemcitabine(GEM)単剤のみであった時代に比べ,手術不能進行膵癌に対する治療の選択肢が増えつつあり,当院における化学療法の変遷について評価を行った.【方法】2006年1月~2012年7月における非切除膵癌88例のうち,高齢やPS低下などの理由で非切除となった11例を除外した手術不能進行膵癌77例を対象とし,後ろ向きに調査を行った.【結果】77例の平均年齢は75歳(47~92歳),性別は男性/女性:40/37例,PS 0/1/2/3:37/28/7/5,ステージ(UICC)II/III/IV:4/18/55であった.抗腫瘍療法は55例(71.4%)に行われ,その内訳は化学療法53例,放射線化学療法(CRT)2例であった.年代別の検討では,2006年~2010年では57例中42例で抗腫瘍療法が行われており,GEM単剤 35例(83.3%),S-1単剤 1例(2.3%),GEM+S-1併用療法(GS)4例(9.5%),CRT 2例(4.7%)でありGEMが中心あった.GEMにおける奏功率(RR)は5.7%,病勢コントロール率(DCR)は54.2%で,二次治療移行率は42.8%,MST6.1カ月であった.Erlotinibが認可され,GEST studyの結果が判明した2011年以降の症例では20例中13例に抗腫瘍療法が行われており,GEM単剤 5例(38.4%),S-1単剤 5例(38.4%),GEM+Erlotinib(GE) 3例(23.0%)であった.2010年までの結果でGEM単剤の二次治療移行率が高くない結果であったため,2011年以降S-1を積極的に一次治療で用いた.S-1単剤のRRは20.0%,DCRは80.0%,二次治療移行率は40%,MST4.7カ月であった.GEM単剤のRRは0.0%,DCRは60.0%,二次治療移行率は40%,MST7.2カ月であった.【結語】一次治療にGEM単剤の選択肢のみであった2010年までに比べ,2011年以降一次治療に積極的にS-1単剤を用いたが,現在のところGEM単剤を上回る結果は出ていない.今後症例を蓄積し,薬剤の使い分けに対する検討を行っていきたい.
索引用語 膵癌, 化学療法