セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍3)

タイトル 消P-205:

膵癌患者における糖尿病合併と膵癌発症年齢に関する検討

演者 水野 卓(東京大・消化器内科)
共同演者 中井 陽介(東京大・消化器内科), 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 川畑 修平(東京大・消化器内科), 斎藤 友隆(東京大・消化器内科), 高木 馨(東京大・消化器内科), 渡邉 健雄(東京大・消化器内科), 内野 里枝(東京大・消化器内科), 濱田 毅(東京大・消化器内科), 宮林 弘至(東京大・消化器内科), 木暮 宏史(東京大・消化器内科), 佐々木 隆(東京大・消化器内科), 山本 夏代(東京大・消化器内科), 平野 賢二(東京大・消化器内科), 多田 稔(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】喫煙や飲酒,膵癌家族歴などの危険因子保有者では,より若年で膵癌が発症することが報告されている.糖尿病(DM)の合併は膵癌患者において高率に見られ,膵癌の危険因子として注目されている.今回我々は,DMが膵癌発症年齢に及ぼす影響について検討した.【方法】1993年12月から2013年1月まで当科で診断した膵癌患者688例を対象とした.膵癌発症年齢と性別・DM・喫煙・飲酒・癌家族歴との関連について,多重回帰分析によって検討した.長期DM合併例では,DM治療薬の影響についても検討した.【結果】DM合併は333例(49%)に認め,罹病期間2年以内の新規DMが183例(27%),2年以上の長期DMが150例(22%)であった.全体の膵癌発症平均年齢は67.6(95%信頼区間66.8-68.4)歳であった.長期DM合併群(70.5 [68.8-72.1]歳)は,新規DM合併群(66.9 [65.4-68.4]歳)やDM非合併群(66.7 [65.6-67.8]歳)に比べて膵癌診断時年齢は有意に高齢であった(P<0.001).多重回帰分析の結果でも,長期DM合併(+3.32歳,P<0.001)は高齢発症と関連していた.一方,喫煙継続(-5.01歳,P<0.001)と膵癌以外の癌家族歴(-2.68歳,P=0.001)は若年発症と有意に関連していた.1日80g以上の飲酒(-3.04歳,P=0.069),膵癌家族歴(-3.27歳,P=0.091)は有意ではないが若年発症との関連が認められた.長期DM合併群においてDM治療薬の影響を検討に加えると,ビグアナイド薬は若年発症(-3.20歳,P=0.085)と,チアゾリジン薬は高齢発症(+3.29歳,P=0.079)と関連が認められたが,インスリン(P=0.854)及びインスリン分泌促進薬(P=0.183)は膵癌発症年齢と関連が認められなかった.【結論】膵癌患者の約半数にDM合併を認め,長期DM合併者では膵癌発症年齢が約3年高齢であった.DM治療薬も膵癌発症年齢に影響を与えている可能性が示された.
索引用語 膵癌, 糖尿病