セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍3)

タイトル 消P-206:

進行膵癌に対するgemcitabine・S-1・LV併用(GSL)療法の第1相試験

演者 中井 陽介(東京大・消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】Gemcitabine(Gem)・S-1併用(GS)療法はGEM単独療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したが全生存期間(OS)の延長は証明されなかった.GS療法に加えて,S-1の治療効果を向上させるためにleucovorin(LV)を併用したGSL療法の至適用量を決定する目的で第1相試験を行った.【方法】登録基準は,病理組織学的に腺癌と診断された,切除不能進行膵癌, PS 0-2, 20歳以上,経口摂取可能な症例.投与スケジュールは,S-1 80 mg/m22x, LV50mg2x p.o. Day 1-7, Gem 600(Level1), 800(Level2), 1000 mg/m2 (Level3) div 30 min Day1で2週間1コースとして,PDまで継続.Grade4血液毒性,grade3非血液毒性,第1コースでの休薬期間14日以上をDLTとした.【結果】2012年5月~13年2月に進行膵癌15例を登録(Level1/2/3 6/6/3例).男性7例,年齢中央値66歳,PS0/1:5/10例,局所進行5例/遠隔転移10例).DLTは,Level1で2例(Grade3食思不振 1例, Grade3食思不振・口内炎・下痢1例),Level2で1例(Grade3 肺塞栓症)を認めたが,Level3ではDLTを認めず,推奨投与量はGem 1,000mg/m2, S-1 80mg, LV 50mgと決定された.RECIST効果判定によるBest response(効果判定未施行2例)は,PR3例, SD9例, NE1例(肺塞栓で中止)とresponse rate23%, disease control rate92%であり,現時点で経過観察期間が短く,今後の治療継続で奏功例がさらに増える可能性がある.Grade3以上の主な有害事象は,好中球減少20%, 食思不振13%, 下痢6%, 口内炎6%, 間質性肺炎6%に認めた.【結語】進行膵癌に対するGSL併用療法は,安全に施行可能であり,高い抗腫瘍効果が期待される.今後,本試験で決定した推奨投与量を用いた,切除不能症例を対象とした多施設共同第2相試験を予定している.
索引用語 膵癌, 化学療法