セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍3)

タイトル 消P-207:

エルロチニブ治療を施行した切除不能膵癌症例の検討

演者 米山 和夫(秋田組合総合病院・消化器科)
共同演者 木下 展克(秋田組合総合病院・消化器科), 津田 栄彦(秋田組合総合病院・消化器科), 和田 勲(秋田組合総合病院・消化器科), 藤井 公生(秋田組合総合病院・消化器科), 星野 孝男(秋田組合総合病院・消化器科), 岸部 俊彦(秋田組合総合病院・消化器科), 渡部 博之(秋田組合総合病院・消化器科)
抄録 【目的】膵臓癌は進行状態で診断されることが多く,治癒切除不能膵癌に対する化学療法の重要性は大きい.今回我々は,切除不能膵癌に対する塩酸ゲムシタビン(GEM)とエルロチニブの併用治療(GE治療)の効果,副作用の発現状況などを検証した.【対象】当科において切除不能膵癌と診断した症例のうち,GE治療を行った11例を対象とした.年齢46~80歳,男女比7:4,PS:0/1=9/2であった. Stage分類ではIV a:IV b= 2例:9例であった.全例,治療開始前にEUS-FNAを行いadenocarcinomaの確定診断を得た.また全例呼吸器疾患の既往はなかった.GEMは1000mg/m2 を基本とし,3投1休で開始した症例が7例,2投1休が1例,隔週投与が3例であった.エルロチニブは全例100mg/日連日投与で開始した.【成績】(1)1例では18ヶ月間のSD(RESIST基準)を維持している.1例では2ヶ月間のGE治療の後,4ヶ月間のGEM+S-1治療を行い,腫瘍縮小が得られ手術を行った.比較的低年齢の3例(51・50・46歳)ではそれぞれ約5ヶ月目でPDと診断されたが,セカンドラインとしてGEM+S-1の導入が可能であり治療継続中である.一方,比較的高齢の6例(平均71.7歳)では,全例副作用により減量や中止が必要であり,平均3.6ヵ月(1.5~7ヵ月)でPDと診断された.追加治療は困難であり,平均生存期間は6.3ヵ月(4~11ヵ月)であった.(2)エルロチニブ内服開始後2~16日で,全例に発疹の出現を認めた.1例でGrade 3の疼痛を伴う足底の水泡形成を認め中止となったが,腫瘍の縮小効果が確認された.またGrade 2の爪囲炎を認めた症例では長期間のSDが維持されている.(3)嘔気や食欲不振は全例で認められた.他に血球減少,味覚異常,口内炎などが認められたが,いずれも対症的に軽快した.また間質性肺炎は認めなかった.【結論】エルロチニブ投与に際しては,厳重な副作用のマネージメントが必要と考えられた.また適切な症例選択や至適投与期間など,今後さらなる検討が望まれる.
索引用語 切除不能膵癌, エルロチニブ