セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍4)

タイトル 消P-208:

当科における切除不能膵癌に対する一次治療の現況

演者 藤森 尚(国立九州医療センター・消化器内科)
共同演者 河邉 顕(国立九州医療センター・消化器内科), 寺松 克人(国立九州医療センター・消化器内科), 原田 直彦(国立九州医療センター・消化器内科), 中牟田 誠(国立九州医療センター・消化器内科), 伊藤 鉄英(九州大・病態制御内科)
抄録 【背景】切除不能膵癌に対して分子標的薬のerlotinibが使用可能となってから2年余りが経過した.Gemcitabine(GEM),GEM+erlotinib(GE),S-1,GEM+S-1(GS)などの複数の治療レジメンを実地臨床でどのように使い分けるかが今後の大きな課題である.【目的】GE療法導入以降の当科における切除不能膵癌に対する治療成績をまとめ,各治療レジメンの有効性や安全性を検証する.【方法】2011年3月以降に当科で診断・治療した切除不能膵癌46例(男/女28/18,平均年齢71歳,Stage III/IVa/IVb: 1/5/40,PS 0/1/2/3: 30/9/6/1)をretrospectiveに解析した.一次治療としてGE(12例),GEM単独(G群21例),GS(4例)を行った治療群(3群)と,best supportive care(BSC, 9例)とした1群の計4群に分け,各群を比較検討した.【結果】全46症例の全生存期間(OS)中央値は6.4ヶ月であった.BSC群(n=9)は治療群(n=37)に比して有意に年齢が高く,PS不良(PS1以上)であった(p<0.01).BSC群のOS中央値は治療群に比して有意に不良であった(7.9 vs 3.9, p=0.04).治療群(3群)の比較では,GS群のみPS不良(PS 0/1/2: 1/2/1, p<0.05)であったが,他の患者背景に差を認めなかった.GE群,GS群で血液学的有害事象が多く,GE群で消化器症状及び皮疹が有意に高率であった.間質性肺疾患はG群3例(14%),GE群2例(17%)に認めた.最良総合効果は,PR/SD/PDの内訳がGE群2/9/1,G群0/11/10,GS群2/2/0であり,病勢コントロール率はGE群(92%)及びGS群(100%)でG群(52%)より高率であった.無増悪生存期間(PFS)中央値,OS中央値はGE群がG群より良好であった(PFS: 4.2 vs 2.2, p=0.16; OS: 8.1 vs 3.9, p=0.08).【考察】PS,年齢は化学療法導入を決定する大きな要因であり,治療群の中ではPS不良,高度進行例にGSを選択していた.膵癌は未だ極めて予後不良であり,GEM単独の治療効果は満足できるものではない.少数例ながらGE,GS療法の治療効果は良好であり,一次治療として十分検討に値するレジメンである.
索引用語 膵癌, 化学療法