セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
膵臓(腫瘍4)
|
タイトル |
消P-212:EUS-FNAB検体中hENT1発現による局所進行膵癌gemcitabine併用化学放射線療法の予後予測
|
演者 |
山田 玲子(三重大附属病院・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
井上 宏之(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 伊佐地 秀司(三重大・肝胆膵・移植外科) |
抄録 |
【目的】当院では,EUS-FNAB/ERCP等で確定診断した局所進行膵癌に対し,gemcitabine併用化学放射線療法(GEM-CRT)を施行,切除可能症例に対しては積極的に根治切除を行ってきた.当院の検討でGEMの細胞内輸送蛋白であるHuman equilibrative nucleoside transporter-1 (hENT1)の腫瘍内発現はGEM-CRTの治療効果と相関があり,今回,治療前EUS-FNAB検体と切除標本とのhENT1発現形式の相同性と治療成績との相関性を検討した.【方法】2005年2月~2011年11月でGEM-CRT施行後に治癒切除を行った75例(UICC-T3:53例,T4:22例)中,EUS-FNABを施行した50例中48例(96.0%)が確定診断を得たが,そのうちEUS-FNABでhENT1組織内発現の検討に十分な組織量を得た35例(UICC-T3:26例,T4:9例)を対象にGEM-CRT前後の膵癌組織中hENT1の発現変化とGEM-CRTの治療効果との相関を検討した.EUS-FNAB検体中のリンパ球をinternal controlとし,hENT-1発現の程度を陽性と陰性とに分類した.【結果】EUS-FNAB検体組織中のhENT1発現の陽性率は80.0%;陽性28例(UICC-T3:21例,T4:7例),陰性7例(T3:5例,T4:2例)で,切除標本での陽性率(80.0%)と同等であった.また,EUS-FNAB検体35例中31例(88.6%;T3:88.5%(23/26),T4:88.9%(8/9))で切除標本とhENT1発現形式が一致した.hENT1陽性群は,生存期間(overall survival; OS)において,生存期間中央値(median survival time; MST)29.82ヶ月(1年生存率92.6%,2年生存率41.0%)と,陰性群の9.04ヶ月(28.6%,0%)と比較して有意に延長しており (p<0.0003),無再発生存期間(recurrence free survival; RFS)も,陽性群で20.55ヶ月(1年70.4%,2年39.5%で,陰性群の5.72ヶ月(28.6%,0%)より有意に良好であった(p=0.010).【結論】EUS-FNAB検体を用いた腫瘍内hENT1発現は,切除標本とほぼ同じ染色性を示し治療効果との相関も認め,予後予測因子としての可能性が示唆された. |
索引用語 |
EUS-FNAB, 膵癌 |