抄録 |
【背景】切除不能膵癌に対する1次化学療法の選択において,現在GEM,S-1の単剤治療,GS療法の選択がある.単剤治療で開始する場合は,通常2次治療のことまで考慮して治療選択を行うが,単剤治療で開始するも2次治療まで遂行できない患者群が存在する.2次治療まで施行できない因子を同定し,1次治療の選択材料とする.【方法】2007年1月~2013年1月までに切除不能膵癌に対し1次治療としてGEMを導入した患者46名に対し,2次治療を遂行できた群(n=21:nonSF群(non Second Failure))と遂行できなかった群(n=25 :SF群(Second failure))の2群間の差を以下の項目で検討した.(年齢,性別,PS, 癌の部位,stage, 癌性腹膜炎の有無,胆管閉塞の有無,糖尿の合併の有無,疼痛コントロールの有無,BMI,体重減少の程度,CEA, CA19-9, DUPAN-2, Span-1, Alb, WBC, Hb, Plt, Cr, AST, ALT, T-bil, G-GTP, )また,failureに対する因子をロジスティック解析にて同定をした.【結果】MSTは,9.3month(nSF)に対し2.9month(SF)(Logrank test:p<0.001)と明らかにSF群は予後不良であった.2群間には,PS(0/1/2);20/1/0vs11/5/9(p<0.001),癌性腹膜炎;9.5%vs40%(p=0.04),Alb(g/dl);4.05vs3.67(p=0.02), Hb(g/dl);13.38vs12.42(p=0.05), の因子について統計学的な有意差を認めた.多変量解析では,唯一PS1以上であることが独立因子として同定された.(odds比 20.3:p=0.008)【結語)】今回の検討では,切除不能膵癌においてPS1以上であることが,2次治療まで遂行できない唯一のリスク因子として同定された. |