セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍5)

タイトル 消P-218:

切除不能膵癌に対する栄養療法介入の有用性と課題

演者 林 大樹朗(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 伊藤 裕也(名古屋大大学院・消化器内科学), 平松 武(名古屋大大学院・消化器内科学), 鷲見 肇(名古屋大大学院・消化器内科学), 杉本 啓之(名古屋大大学院・消化器内科学), 桑原 崇通(名古屋大大学院・消化器内科学), 森島 大雅(名古屋大大学院・消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学DELIMITER名古屋大附属病院・光学医療診療部)
抄録 【目的】癌化学療法に併用した切除不能膵癌(PC)に対する成分栄養療法(ED)の有用性を検討すること.【方法】2009年4月から2013年12月までに当院を受診し,病理組織学的確診を得て化学療法を施行したstage4bのPC52例を対象とした.化学療法はGemcitabine(GEM)を使用し,併せてED(エレンタール®2包/日)の投与を行った.2011年7月6日以降はErlotinib(Erl)を併用した.ED群の定義はGEMと併用した連続4週以上の内服群とした(以降は可能な限り継続した.).非ED群は4週未満での中止群とし以下の項目につきretrospectiveに検討した.1)全例のED継続の可否につき検討した.2)ED群と非ED群の生存曲線をKaplan-Meier法で推定し,Log rank testを用いてその差を比較した.3)背景因子(年齢,性別,原発部位,肝転移の有無,腹膜播種の有無,Performance status,体重減少率,血液検査所見(Albumin,HemoglobinA1c,CRP,CA19-9),Erlの有無)とEDの有無が全生存期間(OS)に与える影響について単変量Cox回帰分析を行った.CRPとCA19-9はその中央値(0.4mg/dl,415U/ml)で2群に分け検討した.4)検討3)の結果をもとに多変量Cox回帰分析を行った.【成績】1)継続不能であった非ED群は24例(46%)で,その多く(21例,88%)は味,臭い,内服後腹満感を理由とした自己中断であった.2)ED群の生存期間中央値は316±134日で,非ED群(198±97日)に比し延長を認めた(P=0.011).3)EDの有無(HR=0.40,P=0.0094)と,CA19-9(HR=2.95,P=0.0033)は有意にOSに影響した.4)OSに影響を与える独立した因子はEDの有無(HR=0.41,P=0.021,95%CI:0.18-0.87)とCA19-9(HR=2.8,P=0.0068,1.32-5.93)であった.【結論】切除不能膵癌に対する成分栄養療法の併用はcomplianceが改善されれば,その継続が予後の延長に寄与しうる.
索引用語 成分栄養療法, 切除不能膵癌