セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍5)

タイトル 消P-222:

小膵癌診断におけるENPD留置による連続膵液細胞診の有用性

演者 齋 宏(広島赤十字・原爆病院・消化器科)
共同演者 花ノ木 睦巳(広島赤十字・原爆病院・消化器科), 古川 善也(広島赤十字・原爆病院・消化器科)
抄録 【目的】従来,膵癌に対する質的診断法としては内視鏡逆行性膵管造影(ERP),膵液細胞診が主流であった.しかしVilmannらが膵癌に対するEUS-FNAの有用性について報告して以降,徐々にその立場が逆転しつつある.しかしEUS-FNAの診断は腫瘍の大きさに依存する場合が多く小病変においては診断が困難な場合が多い.我々は,早期確定診断目的に,ENPDを留置し3日間連続で細胞診を行っている.今回,小膵癌診断に対する連続細胞診の有用性の検討を行った.【方法】2005年5月から2012年12月に当院でENPD留置による膵液細胞診を行い診断確定した285例(160例,女性125例,年齢67.3±12.2歳,通常型膵癌121例,IPMC16例,その他悪性4例,良性144例)を対象とした.細胞診は原則3回行い,陽性を検出したものを細胞診陽性,陽性を除く症例で疑陽性を検出したものを疑陽性,全て陰性であったものを陰性とし,細胞診の回数別・腫瘍サイズ別のsensitivity・specificity,合併症等の検討を行った.【成績】膵液細胞診における膵癌141例では陽性91例・疑陽性37例・陰性13例で, sensitivityは0.67(0.90)(疑陽性以上を陽性と定義した場合を併記).悪性141例の回数別sensitivity は1回目のみが0.33(0.61),2回目までが0.47(0.83),3回目までが0.63(0.89)で,連続細胞診で有意にsensitivity向上を認めた(p=0.002).通常型膵癌の腫瘍サイズ別sensitivityは,Tis・TS1 26例は0.76(0.93),TS2 56例は0.72(0.93),TS3 23例は0.57(0.82),TS4 6例は0(0.60)で,小膵癌において有意にsensitivityが高かった(p=0.01).IPMC16例は陽性11例・疑陽性5例・陰性0例でsensitivityは0.68(1),主膵管型13例,分枝型3例で,上皮内癌は7例であった.合併症は膵炎を12例(6.5%)に認めたが,全て軽症膵炎であった.【結論】ENPD留置による膵液細胞診は,繰り返し検査をすることで有意な感度向上を認めた.また,小膵癌で有意に高感度であり,早期の確定診断方法として有用と考えられた.
索引用語 膵癌, 診断