セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN1)

タイトル 消P-225:

分枝型IPMNの進行に関する高危険因子の検討

演者 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター・消化器科)
共同演者 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター・消化器科), 虻江 誠(宮城県立がんセンター・消化器科), 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター・消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター・消化器科), 内海 潔(宮城県立がんセンター・消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター・消化器科), 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター・消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター・消化器科)
抄録 【目的】結節のない分枝型IPMN(以下,BD-IPMN)の進展及び悪性化の高危険群について検討する.【対象と方法】1996年4月~2013年3月に当施設でBD-IPMNと診断した210例のうち,壁在結節を有さず180日以上の経過観察が可能であった96例を対象とした.進展の定義は壁在結節の出現,新たな嚢胞の出現,10mm以上の嚢胞径拡大,2mm以上の主膵管拡張,主膵管の狭窄の出現とした.病変の進展を示したのは25例(26.0%)で,これらを非進展群71例と1.性別2.年齢3.嚢胞個数4.病変主座5.観察期間6.腫瘍マーカー7.乳頭開大の有無8.主膵管径9.嚢胞径について比較検討した.【結果】男性/女性44/52例(45.8/54.2%),年齢36~84歳(中央値70歳).病変主座は頭部/体部/尾部43/36/17例,嚢胞径中央値は18mm(8~75mm),嚢胞個数平均値は1.51個(1~5個)で観察期間は219-5481日(中央値1120日)であった.進展群では乳頭開大を示していた例,主膵管5mm以上の拡張を示していた例が有意に多かった.進展の内容は嚢胞径拡大11例,壁在結節出現11例,新たな嚢胞出現2例,主膵管径拡大2例,主膵管狭窄4例であり,7例に外科的切除を施行,3例に悪性所見を認めた.主膵管狭窄4例のうち2例が,他部位に発生した通常型膵癌であった(2.1%).進展群25例を経過観察群20例と悪性化群5例に分け比較検討したところ,悪性化群で有意に年齢が高く,5mm以上の主膵管拡張を示している例が多かった.さらに悪性化群では主膵管狭窄を来している例が有意に多かった.【結語】96例中25例(26.0%)に病変の進展を,5例に悪性化を認めた.初診時主膵管径5mm以上という所見は,病変進展の有意な危険因子であるとともに,悪性化の危険因子である可能性が示唆された.BD-IPMNの大部分は経過観察が可能であるが,主膵管が5mm以上に拡大し,かつ高齢の症例は悪性化に注意して経過観察する必要があり,病変の進展,非進展を問わず,他臓器癌や通常型膵癌の合併に留意して継時的な経過観察しなければならない.
索引用語 分枝型IPMN, 膵管内乳頭粘液性腫瘍