セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
膵臓(IPMN1)
|
タイトル |
消P-226:主膵管型IPMNの組織学的亜分類の検討
|
演者 |
野々垣 浩二(大同病院・消化器内科) |
共同演者 |
小川 和昭(大同病院・消化器内科), 藤城 卓也(大同病院・消化器内科), 印牧 直人(大同病院・消化器内科) |
抄録 |
【はじめに】主膵管型IPMNは悪性度が高く,診断された時点で手術が可能であれば全例に外科的手術が推奨されているが,主膵管の拡張の程度,症状の有無,壁在結節の有無を含め,明確な悪性の指標は報告されていない.2010年に提唱されたWHO分類では,IPMNはIntestinal type ,Gastric type ,Pancreatobiliary type,Oncocytic typeの4つの組織学的亜型に分類された.ムチン(MUC)の発現状況を加味した組織亜型の悪性度予測を含めた臨床病理学的有用性が,国際的にもコンセンサスを得られるようになってきた.今回我々は,当科で経験した主膵管型IPMNについて組織学的亜分類について検討した.【対象と方法】2009 年4月から2013年2月までに当科で主膵管型IPMNと診断,切除した5例を対象とした.症例の年齢は平均70.6歳(62-80歳)で,男性3例,女性2例.病理組織学的検討として,MUC1(膜結合型),MUC2(腸型),MUC5AC(胃腺窩上皮型),MUC6(胃幽門腺型)の各ムチンに対するモノクロナール抗体を用いて免疫染色を行い,粘液形質,組織学的亜分類について検討した.【結果】組織学的悪性度は,invasive carcinoma 2例,low grade dysplasia 3例であった.組織学的亜分類では,Intestinal type 1例,Gastric type 3例, Pancreatobiliary type 1例であった.Gastric type 3例は,いずれもlow grade dysplasia,胃,および十二指腸穿破を認めた浸潤癌症例は,MUC2陽性でIntestinal typeであった.Pancreatobiliary typeであった症例では,膵実質浸潤を認め,StageΙ症例であったにも関わらず,術後数ヶ月で肝転移を認めた.Gastric type 3例は,切除後再発所見なく生存中である.【考察】当科で経験した主膵管型IPMNは,5例中3例がGastric typeでいずれも悪性所見を認めなかった.膵液や膵管生検組織などの微量検体を用いた分子生物学的手法が確立され,術前に組織学的亜型を検討することで主膵管型IPMNにおいても,より詳細な悪性度評価,治療方針の決定などに寄与できる可能性がある. |
索引用語 |
主膵管型IPMN, MUC染色 |