セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN2)

タイトル 消P-230:

経過観察となった手術適応膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の検討

演者 香月 優亮(慶應義塾大・一般消化器外科)
共同演者 北郷 実(慶應義塾大・一般消化器外科), 相浦 浩一(市立川崎病院・外科), 田邉 稔(慶應義塾大・一般消化器外科), 板野 理(慶應義塾大・一般消化器外科), 篠田 昌宏(慶應義塾大・一般消化器外科), 八木 洋(慶應義塾大・一般消化器外科), 阿部 雄太(慶應義塾大・一般消化器外科), 日比 泰造(慶應義塾大・一般消化器外科), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科)
抄録 (背景,目的)IPMNは高齢者に多く,slow growingであるといった特徴を有するものの,治療指針としては一定の見解が得られていなかった.2006年にIPMN/MCNの国際診療ガイドラインが示され,2012年に改訂版が示されある一定の指針がだされたものの依然その自然史について解明されていない.今回,当科で手術適応となるも経過観察された症例を検討したので報告する.(対象,方法)対象は,当科で1年以上経過観察されたIPMN90例のうち,手術適応となるも経過観察された7例.当科のIPMNの手術適応因子はこれまでの切除症例の検討により,主膵管型(主膵管径≧10mm),有症状例と,嚢胞径に関わらず,結節径≧5mm又は主膵管径≧8mmの分枝型または混合型としている.(結果) 7症例の内訳は混合型が3例,分枝型が4例で主膵管型は認めなかった.全例男性で,年齢中央値は77(71~89)歳,平均観察期間は66.8(21~104)ヶ月であった.いずれの症例も手術について説明したが,希望されなかった症例であった.それぞれの手術適応因子としては主膵管径≧8mmが3例,結節径≧5mmが4例で2例に造影効果を伴う結節を認めた.7例のうち2例は通常型膵癌を合併し,1例はIPMCに進行した.1例は主膵管の拡張のみ認めた.その他3例に著変は認めていない.癌化した3例はいずれも進行性で,手術適応と診断してからIPMCまたは膵癌合併までの平均観察期間は53.3(21~79)ヶ月であった.通常型膵癌を合併した2例のうち1例は食道癌術後であり,食道癌の再発により他腫瘍死した.もう1例はバイパス術後,化学療法中である.IPMCに進展した1例は化学療法を施行後,緩和治療中である.(結語)手術適応となるも経過観察の継続中に癌化した症例を経験した.IPMNの自然史はまだ十分に解明されていなが,経過観察の方法や間隔,さらに手術のタイミングに関して今後さらなる症例の蓄積が必要である.
索引用語 IPMN, 経過観察